平成19年6月19日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価シナリオ解析支援ツール「FepMatrix」の開発
 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長・岡ア俊雄、以下、原子力機構)地層処分研究開発部門では、高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価手法の高度化の一環として、安全評価のシナリオ構築を支援するための計算機支援ツール「FepMatrix(フェップマトリクス)」を開発し、外部提供が可能となりました。

 地層処分安全評価シナリオの検討には、処分システムに関連する長期的な現象が安全性にどのような影響を及ぼすかについて、処分システムの特性(Feature)、出来事(Event)や過程・経過(Process)(これらを「FEP」とよびます)の相互関係を把握し、整理することが必要です。
 従来、FEP間の相互関係を整理し表現するために、数百を超えるFEPを線で結ぶ「プロセスインフルエンスダイヤグラム」と呼ばれる手法が用いられてきましたが、それは、蜘蛛の巣のように複雑な構図となるため、一般的には分かりにくいものでした。
 また、このようなプロセスインフルエンスダイヤグラムの作成は、手作業で行われていたため、ヒューマンエラーも発生しやすいものでした。

 原子力機構地層処分研究開発部門では、この問題の解消に向け、一定のルールに従いFEPをマトリクス上に展開することで効率的に相互関係を整理できる方法を考案し、この方法論をコンピュータプログラムである計算機支援ツールFepMatrixとして開発しました。
 FepMatrixにより展開されたFEPの相互関係は、電子ファイルとして管理されるため、シナリオ解析の専門家同士の迅速な情報共有が可能となり、今後の地層処分における安全性に関する知識の蓄積と管理にも有効と考えます。また、FEP間の線の結合は自動的に行われますので、安全評価の信頼性は一層向上するものと期待されます。
 今回開発した手法とFepMatrixは高レベル放射性廃棄物処分のみならず他の廃棄物処分に関するシナリオ解析にも適用可能であり、さらには自然環境にかかわる防災をはじめとする幅広い分野での活用が期待できます。
 本成果の詳細は、原子力機構の研究開発報告書(JAEA-Data/Code)として取りまとめるとともに、FepMatrixは外部の方が利用可能なプログラムとして提供することといたしました。

 FepMatrixの入手については、原子力機構プログラム等検索システム「PRODAS」(http://www.jaea.go.jp/08/8_1.shtmlから選択)の「原子力機構プログラム等を入手するには」をご参照下さい。

 
  高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価 シナリオ解析支援ツールFepMatrixの開発
  【解説】
以 上

参考部門・拠点:地層処分研究開発部門


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