平成19年2月19日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
芝浦工業大学
株式会社神戸製鋼所
 
高エネルギープロトンビームライティング(PBW)で3次元微細加工に成功
 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 岡普@俊雄)(以下、「原子力機構」という)と芝浦工業大学(学長 平田 賢)(以下、「芝浦工大」という)は、平成16年度から進めてきた共同研究(補足説明1)により、原子力機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設TIARA(ティアラ)において、3 MeV(300万電子ボルト)の高エネルギー陽子ビーム径を数百nm 1) にまで微細化し、これを照射して微細加工を行う技術(プロトンビームライティング=PBW技術(補足説明2))を開発しました。
 今般、このPBW技術により、世界で初めて、水平加工精度が数百nmかつ加工深さが最大50 μm 2)という、1:10以上の高アスペクト比 3) を持つ三次元微細構造体の試作に成功しました(補足説明3、図1写真1、2)。これは、PBWによる三次元微細加工技術が、国内で初めて世界のトップに比肩する水準に到達したことを示すものです。
 また、原子力機構と株式会社神戸製鋼所(社長 犬伏 泰夫)は、新しい光学素子やバイオチップ等の製造の産業化に必要な型やプロトタイプ作製を可能とする、小型PBW加工装置の開発を世界に先駆けて開始しました。
 今後、三者は、より高分解能での三次元微細加工技術の確立を目指すとともに、PBW加工装置の共同開発を進めてまいります。

 なお、本成果の詳細については、芝浦工大大宮キャンパス先端工学研究機構「フレキシブル微細加工研究センター」の発足記念シンポジウム「集束プロトンビームによる微細加工技術と応用」(平成19年2月26日開催予定) において発表される予定です。


 補足説明

 1) 1 nmは、1 mmの100万分の1。
 2) 1 μmは、1 mmの千分の1。
 3) 縦横比。ここでは水平方向の加工精度に対する、深さ方向の相対的な大きさを表す。
以 上

参考部門・拠点:高崎量子応用研究所


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