平成18年12月19日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
東北大学金属材料研究所
 
ネプツニウム酸化物NpO2に新しい磁気秩序を発見
−これまでの常識を覆す「磁気八極子秩序」の存在を確認−

 

●ポイント
     ・ 50年来の謎であったネプツニウム酸化物(アクチノイド化合物の一種)の特異な磁気状態は、磁気八極子による新しい秩序状態であることを確認。
     ・ 「磁気秩序 = 磁気双極子の秩序」というこれまでの常識を覆す発見。


●概要
 独立行政法人日本原子力研究開発機構【理事長 殿塚猷一】(以下「原子力機構」という。)は、東北大学金属材料研究所(以下「東北大金研」という。)【所長 中嶋一雄】との共同研究により、50年来の謎であったネプツニウム酸化物NpO2(アクチノイド化合物1)の一種)の特異な磁気状態を、核磁気共鳴法2)を用いて解明し、NpO2ではNp原子を構成する5f電子3)が新しい磁気八極子秩序4)状態を形成していることを発見しました。これは、原子力機構先端基礎研究センターの徳永陽研究員、神戸振作研究主幹、東北大金研・放射線金属化学研究部門の青木大助手、本間佳哉助手、塩川佳伸教授らによる成果です。
 低温でNpO2に現れる磁気状態が、通常の磁性体で見られる磁気秩序でないことは1950年代には既に知られていました。しかしそれがどのような状態かは不明であり、物性物理の大きな難問でした。今回の研究成果により物性物理の重要課題であるアクチノイド化合物の電子状態の解明が大きく進展し、超伝導機構などが解明されることが期待されます。また、今回初めて観測された「磁気八極子秩序」は、多くの物理現象に普遍的な「自発的対称性の破れ」5)という現象の一つであることから、今後、電気十六極子6)などまだ見つかっていない新たな「自発的対称性の破れ」現象の探索が進むことも期待されます。
 本成果は、米国物理学会誌Physical Review Letters誌 12月22日号に掲載予定です。


 ・ネプツニウム酸化物 NpO2に新しい磁気秩序を発見 −これまでの常識を覆す「磁気八極子秩序」の存在を確認−
 ・補足説明資料
 ・用語説明
以 上

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