平成18年12月15日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
制御棒の異常な引抜き時における高温ガス炉の優れた安全性を確認
 
●ポイント
・ブロック型炉心を持つ高温ガス炉として世界で初めて、広範囲の原子炉出力に亘る制御棒引抜き試験を実施し、高温ガス炉の優れた安全性を確認した。


●概要
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚猷一、以下「原子力機構」という)は、世界のトップランナーとして高温ガス炉の研究開発を進めており、文部科学省の革新的原子力システム技術開発公募事業として、高温工学試験研究炉(HTTR)を用いて高温ガス炉の優れた安全性を実証する試験を段階的に行ってきました。この試験のうち制御棒引抜き試験を平成18年12月13日に完了しました。

 高温ガス炉は、炉心の熱容量(熱を貯め込む能力)が大きく、かつ、炉心の温度が上昇すると核分裂反応が自動的に減少するため、万一制御棒が異常に引抜かれるような事象が生じても緩やかに安定な状態に落ち着くという優れた安全性を有しています。しかしながら、このような事象においても原子炉を停止させる必要がない設計を可能とするためには、この特性を精度よく把握することが求められていました。
 原子力機構では、上記の特性の確認及び解析技術の高度化を目的として、原子炉出力30%(9MW)から出力を段階的に上昇させて制御棒引抜き試験を行ってきましたが、この度、その最終段階として出力80%(24MW)での試験を終了し、広範囲の出力状態において、高温ガス炉の優れた安全性を確認することができました。また、事前解析とほぼ一致した試験結果が得られましたが、炉心の温度分布等を詳細に考慮することにより、今後も解析精度の一層の向上に取り組んでいきます。

 本試験の成果は、第4世代原子力システムとして有望視されている超高温ガス炉(VHTR)の炉特性・安全性解析コードの検証と高度化に役立てられ、さらにはVHTRの安全設備の合理化、経済性向上等に貢献するものとして、世界的にも注目されるものです。


 【補足説明資料
 【用語解説
以 上

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