平成18年9月28日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
宇宙線由来の中性子の強度を簡便に予測できるソフトウェアを開発
−航空機乗務員の被ばく線量などの評価精度向上に期待−

 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚猷一)(以下「原子力機構」という。)の佐藤達彦研究員は、地球大気に入射する宇宙線1)が生成する中性子の強度やエネルギー分布(以下「中性子スペクトル2)」という。)を実測並みの高い精度で計算できるモデルの開発に世界で初めて成功しました。

 さらに、上記のモデル計算により得た中性子スペクトルの高度・地磁気強度・太陽活動周期・周辺環境に対する依存性を解明して、モデル計算と同程度の精度を維持できる簡易計算式を導出しました。これを利用して地球上の任意地点での中性子スペクトルをパソコンで簡便に予測できるプログラム“EXPACS”(*)を開発し、9月28日15時から一般に無料で公開します。

 本成果は、航空機の飛行経路に応じた中性子による被ばく線量評価を可能とし、近年社会的に大きな関心を集めている航空機乗務員の宇宙線に対する被ばく管理3)に利用することができます。また、本成果を、宇宙線由来の中性子による半導体ソフトエラーの発生率4)評価に活用することで、その精度は大きく向上するものと期待されます。

 なお、開発した計算方法の詳細は、米国放射線学会の学術誌“Radiation Research”の9月号に掲載されました。
以 上
 
(*)EXPACSのホームページ
  http://www3.tokai-sc.jaea.go.jp/rphpwww/radiation-protection/expacs/expacs.html


 ・宇宙線由来の中性子の強度を簡便に予測できるソフトウェアを開発(PDF、468kB)
 ・補足説明
 ・EXPACS:Excel-based Program for calculating Atmospheric Cosmic-ray Spectrum利用の手引き(PDF、168kB)
 ・用語解説

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