平成18年8月31日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
大規模災害発生時の電話回線規制に対応した招集通報システムの開発
−「JAEA緊急時招集呼出システム」−

 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚猷一、以下「原子力機構」という。)では、大規模災害発生時の要員の緊急招集手段として、原子力機構内の専用通信回線網(LAN、内線電話)を活用することにより、発災地域周辺で予想される電話回線の混雑による影響を極力回避して、より安定した通報発信を行なうことができる招集通報システム「JAEA緊急時招集呼出システム」を開発し、平成18年8月25日に運用を開始した。

 原子力機構では、各研究開発拠点で事故・トラブル等が発生した場合、対応要員を速やかに招集し、その復旧作業や関係機関への連絡等を行うため、招集装置を用いて事象に応じてあらかじめ指定した招集対象者の自宅の固定電話や携帯電話に「招集メッセージ」を発信している。
 しかし、周辺地域を捲き込むような大地震、台風などの広域災害が発生した場合、安否確認などの電話の集中により回線が混雑すると、電話の不通を避けるため、「災害時優先電話」1)などを優先して一般加入電話の利用を制限する「災害型輻輳」制御2)が行われることがあり、従来の招集装置では、この影響を受けて要員の円滑な招集に支障を来たすおそれがある。

 今回開発した「JAEA緊急時招集呼出システム」は、原子力機構の専用通信回線網(LAN、内線電話)を経由して、「災害型輻輳」制御の影響を受けにくい遠方地域の研究開発拠点等からNTT電話回線に接続し、災害発生地域内の要員に対する招集通報を、電話及び電子メールにより発信する機能を有している。
 この輻輳制御を回避できる仕組みは、データを同期させた3)2台の招集装置を異なる拠点に配置し、専用通信回線網(LAN、内線電話)を介して連携させることで、2重化によるシステムの信頼性向上と、大多数の要員に対する同時呼出を可能としている(図1)。
 更に、発信操作を迅速かつ簡易に行えるよう、遠隔操作用の発信専用端末「クイックコマンダー」(LAN回線接続タイプと電話回線接続タイプの2種類)の開発も合わせて行った(図2)。これにより、回線接続が可能な場所であればどこからでも、簡単なボタン操作で確実に招集メッセージを発信することが可能となった。

 本システムは、共同開発相手のイメージシティ株式会社(代表取締役社長 煖エ 通明)と、日本国内及び米国での特許を共同出願中である。

  大規模災害発生時の電話回線規制に対応した招集通報システムの開発
  補足説明
  用語解説
以 上

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