平成18年7月4日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
ISプロセス法水素製造のためのセラミックス製硫酸分解器の試作に成功
−原子力水素の技術開発において大きな前進−

 
 日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚猷一)では、地球環境保護とエネルギー安定供給の両立を目指し、炭酸ガスを排出することなく、将来のクリーンエネルギーである水素を製造するISプロセス法の研究開発を世界に先駆けて進めているが、この度、ISプロセス法による水素製造に不可欠な、耐圧性・耐食性に優れたセラミックス製の硫酸分解器の試作に成功した。

 ISプロセス法は、ヨウ素と硫黄の関与する化学反応を組み合わせて、水を熱分解して水素を製造する技術で、その製造過程において高温高圧の濃硫酸などの腐食性の強い物質を取り扱うため、とくに、濃硫酸を蒸発・分解させる硫酸分解器の開発が大きな課題であった。そこで、原子力機構は、高圧に耐え、かつ、構造の複雑性をできるだけ排除して、高温ガス炉からヘリウムガスによって運ばれる高温の熱を濃硫酸の蒸発・分解に効率的に使える大型構造体の検討を進め、高温濃硫酸に耐食性を有する炭化ケイ素製多孔円筒型ブロックを積み重ねた新たな構造を、(株)東芝と共同で考案した。さらに、実用化を目指して、毎時30m3の水素製造規模のセラミックス製硫酸分解器を試作し、激しい地震にも耐えられる構造であることを確認した。

 この成果は、世界のISプロセス法の研究開発を先導するものであり、高温ガス炉による原子力水素製造技術の開発が大きく前進した。また、この成果は、腐食性物質を取り扱う化学工業等の広範囲な分野にも適用可能である。

 なお、本内容は、電源開発促進対策特別会計法に基づく文部科学省からの受託事業として、(旧)日本原子力研究所が実施した平成16〜17年度「核熱利用システム技術開発」の成果を含む。

 ・ISプロセス法水素製造のためのセラミックス製硫酸分解器の試作に成功
 ・補足説明

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