図1    Cd-Yb合金近似結晶の結晶構造、および、そこに現れる原子団の構造
 合金中には、Cd四面体型原子団(4Cd)を更に3つのシェル(20Cd,12Yb, 30Cd)で取り囲んだ正二十面体型の大きな原子団が存在する。この大原子団は、図のように体心立方 (bcc)構造を組むように配列している-図には、大原子団のうちCd四面体原子団とYbシェルのみ示した- 。Cd四面体原子団は、外側のシェルに囲まれているために、隣でも1.35nmと互いに遠く離れている。また、その方位は、常温常圧では、互いにばらばらの向きを向いている。(1nmは100万分の1mm)


 
図2    低温・高圧下でのX線回折実験配置
 単結晶試料をダイアモンドアンビルセル(DAC)に封入し、試料に高圧力をかける。DACは冷凍機に取付け、DACごと試料を冷やす。低温高圧状態になった試料に放射光X線を照射し、試料から散乱される回折X線を2次元検出器(イメージングプレート)に記録する。この回折X線のパターンから物質内部の原子配列情報が得られる。
回折X線パターンは、冷凍機ごと試料を回転させながら撮影し、あらゆる方向の原子配列情報を取得する。
(DAC :対向する2つのダイアモンドのアンビルで試料室を挟み、押し込みながら圧力を発生させる装置)


 


図3    低温・高圧下でのX線回折パターンとCd四面体の配向秩序構造
 体心立方(bcc)構造であることを示す常温常圧の回折パターンに比べて、低温高圧下(2.7万気圧170K、および、 5.2万気圧170K)の回折パターンには、矢印で示したように新しいスポット(261,351,,)が現れている。これは、向きが互いにばら ばらだったCd四面体が、図のように秩序だった配向に変化したことを示している。ここでは、代表的な2種類の配向秩序構造を示したが、温度圧力に応じてその他5種類におよぶ配向秩序構造が出現した。(170Kは−103℃)

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