用語説明 |
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1. | PprAタンパク質 ラジオデュランスから発見したpprA遺伝子が作るタンパク質。DNA修復を促進する多面的タンパク質(pleiotropic protein promoting DNA repair)から、PprAと命名した。 |
2. | DNA鎖切断 DNA骨格のリン酸基と水酸基が解離した状態。放射線などの外的要因やDNA消化などの内的要因によって生じる。DNAに起こる傷の中でもDNA2重らせんの鎖切断は生物にとって最も直しづらい傷であるが、ラジオデュランスはいとも簡単に直すことができる。 |
3. | DNAへの結合と修復 修復タンパク質は、DNA鎖切断を認識して結合し、元どおりのDNAに修復させる働きを持つ。PprAタンパク質は、切断されたDNA鎖の末端に結合することによって、修復を高効率で促進する働きをもつ。ラジオデュランスが放射線に強い原因には、PprAタンパク質のこの働きが重要な役割を果たしている。 |
4. | DNA修復試薬 遺伝子組換え等に用いる特定のDNA断片を増やす方法として、大腸菌の環状DNA等に目的のDNA断片を組み込ませ、増殖させる方法があり、遺伝子工学で最も頻繁に利用されている。DNA断片の組み込みには、DNA鎖同士を繋げるためのDNA修復試薬が必要であり、DNAやタンパク質を扱うほとんどの国内外バイオ研究試薬メーカーから販売されている。今回開発されたPprAタンパク質を利用したDNA修復試薬は、PCR産物や平滑末端DNAなど、これまで連結効率が悪いとされていたDNA鎖を約10倍効率よく繋げることができる。 |
5. | ガンマ線照射施設とイオン照射研究施設(TIARA) 高崎量子応用研究所のコバルト60線源を用いたガンマ線照射施設は、低線量率(約0.04Gy/h)から高線量率(約20kGy/h)までの幅広い範囲で任意の線量率で照射できる国内唯一の施設であり、工業、農業、環境など幅広い分野で利用されている。 イオン照射研究施設(TIARA)には、サイクロトロン、タンデム加速器、シングルエンド加速器、イオン注入装置の4種類のイオン加速器が備えられ、数万電子ボルトから数億電子ボルトまでの幅広いエネルギー範囲のイオンビームをつくり出すことができる。TIARAは、最先端の材料科学・バイオ技術研究や産業利用等に最適なイオンビームを提供する世界でも唯一の研究施設である。 |
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