平成18年1月24日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
傷ついたDNAを直す遺伝子を発見し、産業利用に成功
 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚猷一、以下「原子力機構」)は、放射線に強い微生物から見いだした、傷ついたDNAを直す全く新しい遺伝子の機能解明を進め、国内のメーカーに試料の提供や技術指導を行った結果、バイオ研究試薬として実用化に結びつけることに成功しました。これは、量子ビーム応用研究部門の鳴海一成 量子ビーム遺伝子資源研究グループリーダーらによる研究成果です。

 この放射線に強い微生物は、デイノコッカス・ラジオデュランスといい、生物の中で最も放射線に強い細菌です。1999年に全ゲノムが解読されましたが、約半数の遺伝子は機能が未知であり、放射線に強い原因は明らかにされていませんでした。そこで原子力機構では、高崎量子応用研究所の量子ビーム施設TIARA等でガンマ線、イオンビームといった量子ビームを利用してデイノコッカス・ラジオデュランスを調べ、放射線で傷ついたDNAを直す遺伝子を2001年に発見しました。この遺伝子が作るタンパク質は、傷ついたDNAに結合し、高効率でDNAを直す機能があることが分かりました。このタンパク質は、今までに知られていない働きをする新しいタンパク質です。

 このタンパク質について、独立行政法人科学技術振興機構の技術移転支援制度を通じて国内のメーカーに試料の提供や技術の指導を行った結果、株式会社ニッポンジーンから従来製品より約10倍効率の高いDNA修復試薬として発売されました。遺伝子操作に欠かせないバイオ研究試薬として幅広い利用が見込まれます。
以 上
【添付資料】
  1.補足説明資料
  2.用語説明
  3.「傷ついたDNAを直す遺伝子を発見し、産業利用に成功」(OHP)
  4.「日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所」

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