平成17年11月10日
独立行政法人
日本原子力研究開発機構
 
腸に閉塞がある患者に使用可能な小腸内視鏡の開発をスタート
 
 日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚猷一)(以下、原子力機構)は、国際熱核融合実験炉(ITER)に関する保守技術の開発を通じて得られた光ファイバ計測技術に関する研究成果の応用を目的とし、平成16年6月に産学連携技術開発チームを発足させ、産学との連携に基づく技術開発を進めてきた。その技術開発の一環として、藤田保健衛生大学(理事長 山路正雄)第二教育病院内科の芳野純治教授及び(株)フジクラ(取締役社長 大橋一彦)と、腸閉塞(イレウス)を有する患者に対して使用可能な小腸内視鏡の共同開発を進め、その実用化の見通しを得た。

 これまで、腸閉塞(イレウス)及び癒着がある患者に対して適用可能な小腸内視鏡は実用化されていなかった。そこで、胃腸手術などの術後に腸閉塞を発病した患者に対して使用される治療用チューブ(イレウスチューブ)に、原子力機構が開発した極細径の光ファイバスコープを組み込むというアイデアにより、腸閉塞及び癒着がある患者の小腸内を目視観察可能にした。

 本スコープは細長く、患者の体内に留置したイレウスチューブをそのまま使用して挿入可能とするため、体内への挿入に必要な時間が短く、結果として、病変状態をいち早く観察可能であるとともに、患者の負担も軽減できる。また、イレウスチューブを利用する構造のため、チューブを引き抜きながら腸内全域に渡って連続して観察可能である。
 今後、自家蛍光観察、局所的な光線力学的治療(PDT)及びレーザー照射による温熱・焼灼治療が可能なように、今回開発したスコープの中心にレーザー導光用光ファイバコアを一体化した複合機能型光ファイバスコープの開発を進め、内視鏡の多機能化を図る予定である。

 今回得られた成果は、第23回日本大腸検査学会総会(11月12日〜13日、名古屋国際会議場)で発表される。

 ・補足説明資料
以 上

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