【参考】 低線量の放射線による人体への影響に関する各種関係機関の見解

1.米国科学アカデミー「電離放射線の生物影響に関する委員会」(Committees on the Biological Effects of Ionizing Radiation;BEIR)第7次報告書(Health Risks From Exposure to Low Levels of Ionizing Radiationと題する報告書)[平成17年6月]
低線量がんリスクに対し、直接的な疫学及び動物による研究方法では、0〜100mSvの範囲のリスクに対し、有力な曲線性又は線量しきい値を定義する能力に本質的に限界があるのは、非常に明白である。
結論〜本委員会は、人の電離放射線による被ばくとがんの発生との間に、線形でしきい値なしの線量−応答関係という仮説は、現在の科学的証拠と矛盾しないと結論する。

2.フランス医学アカデミー及び科学アカデミー「低線量電離放射線による発がん効果の評価と線量効果関係」と題する報告書[平成17年3月]
200mSvから5,000mSvの電離放射線による発がんのリスクは、数多くの疫学データに基づくものである。この線量範囲では、LNT仮説は、線量と発がん影響との関係をよく表すことができる。
100mSv以下の低線量域では、リスクが増加したしてもごくわずかであるため、疫学により統計的に有意なリスクを検出することは難しいのが現状である。
近年の放射線生物学の進展により、・・・新しいデータが示されてきている。これらは、低線量放射線の影響が少ないことやしきい値の存在を示唆するものであり、数十mSvより低い線量の範囲でLNT仮説を適用することの妥当性について疑問を呈している。

3.国際がん研究機関の調査結果に対する(財)放射線影響協会(国際がん研究機関に我が国のデータを提供した機関)の見解
当協会は、・・・結論を妥当とは認めず、低線量放射線による明確な健康影響が見出されたとの性急な解釈、判断は、厳に慎むべきであると考える。

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