平成17年10月14日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
独立行政法人日本原子力研究開発機構と英国中央研究所研究評議会が中性子検出器開発分野の研究協力を開始
 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚猷一)(以下、「原子力機構」)は、中性子ビーム利用研究分野において、英国中央研究所研究評議会(CCLRC)との間で、大強度陽子加速器(J-PARC)計画に対応した中性子検出器の開発を進めるため、平成17 年9月8日に研究協力の取決めを締結した(※締結当時の組織は、日本原子力研究所)。

 原子力機構と高エネルギー加速器研究機構(以下、「KEK」)が共同で建設を進める大強度陽子加速器(J-PARC)計画では、大強度パルス中性子を用いた、高温超伝導体の機能解明、生物タンパク質の水和構造と機能発現、高分子の高次構造などの物質・生命科学研究や、高性能エンジンの残留応力解析、工業・農業製品の非破壊検査などの産業利用が展開される。
 国際的にも、世界三大パルス中性子源の一つとして、米国オークリッジ国立研究所に建設中のSNS計画および英国CCLRCのラザフォード・アップルトン研究所のISIS増強計画とともに、激しい国際競争が展開されている。
 このような中で、この大強度パルス中性子を最大限に利用できる中性子実験装置の開発、設計、建設が進められており、特に、大強度パルス中性子を高分解能で計測できる中性子検出器の開発が強く求められていた。
 原子力機構では、このたび中性子を光に変換して検出するシンチレータ検出器の分野において、高検出効率化、高計数率化などの基礎技術開発に成功し、大強度パルス中性子対応の検出器開発の足がかりを得た。
 一方、協力相手のCCLRCのラザフォード・アップルトン研究所ISIS実験施設は、現在、世界最大のパルス中性子源で、これまで20年間にわたって、パルス中性子対応のシンチレーション中性子検出器の開発、製造に取り組み、安定な運用に実績を有している。

 今回の協力取決めは、原子力機構が開発した高検出効率・高計数率シンチレータ検出器の成果をもとに、ISISの有する検出器実装のノウハウと結合し、双方の中性子源であるISIS及びJRR-3を用いて、特性試験を実施し、共同開発を行うものである。本協力により短期間に効率よく大強度パルス中性子対応の中性子検出器を開発することが期待されるとともに、これによって、J-PARCパルス中性子線源の性能を向上させることが可能となる。

 なお、この取決めの署名は、CCLRC理事アンドリュー・テイラー氏と、締結当時の組織である日本原子力研究所理事(東海研究所長)鈴木康文により行った。

補足資料:
 大強度陽子加速器(J-PARC)計画における中性子検出器開発のねらいと現状
 大強度陽子加速器(J-PARC)計画の概要
 用語説明
以 上

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