公 開 番 号 |
2012-04 |
関連公開番号 |
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件 名 |
海中放出管からの漏えいの可能性 |
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公 開 日 |
2012年06月 01日 (平成24年) |
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不適合の発生日 |
2009年04月06日 (平成21年) |
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発 生 拠 点 名 |
核燃料サイクル工学研究所 |
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発生施設・設備名等 |
再処理技術開発センター 再処理施設 海中放出管 |
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不適合の内容 |
平成21年4月6日(月)海中放出管の施設定期自主検査において、海中放出管の漏えい試験として工業用水を用いた加圧試験を実施したところ、試験圧力(0.44MPa)に達しなかったことから、海中放出管に漏えい箇所が存在する可能性があると判断しました。 前回の漏えい試験(平成19年8月28日)以降の海洋放出に係る放射性核種の最大濃度は、再処理保安規定に定める管理目標値に対し、十分に下回っており、また、環境モニタリング結果においても異常はなく、環境への影響は認められませんでした。 |
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原因の調査・特定 |
○直接的な原因 漏えい箇所を確認するため、海中に音響を発信して行う海底面の調査、放出管内に圧空を供給した調査、放出管先端部の埋設フランジ部の調査、放出管内に着色水を供給した調査を行ったところ、放出口から陸側に約760mの位置に漏えい箇所を8月8日に確認しました。(図−2) さらに、漏えい箇所の海底土を掘削し、放出管を露出させ外観観察(8月21日〜9月14日)を行いました。その結果、長さ約200mm、幅約1mmの亀裂状の傷を確認しました。傷の周辺では、配管表面のポリエチレン被覆の剥がれとへこみが認められました。また、傷周辺の配管には若干の曲がりがあり、施工時の記録と比べ埋設深さが浅いことが確認されました。(図−3) 損傷箇所の漏れ止め措置は、一般的に配管の漏えい箇所の補修に用いられている袋クランプを9月16日に装着しました。その後、施設定期自主検査と同様に、放出管の全長にわたって工業用水で加圧する方法で漏えい試験を10月5日に行い、損傷箇所を覆って装着した袋クランプからの漏えいはありませんでした。また、試験の圧力も降下しなかったことから、他からの漏えいがないことを確認しました。(図−3) ○主要な原因 漏えい箇所を含む約6.5mの範囲を切断・回収し、外的損傷に係る調査を実施しました。その結果、施工状況及び漏えい箇所の形状等から、平成3年の海中放出管移設工事の際に使用したグラブが配管敷設後の埋め戻し時に配管に接触したことで、曲がりと凹みの外的損傷を与えたと推定しました。また、経年的な変化に係る調査を実施した結果、損傷した箇所では、電気防食により生成する水素が影響したことで、水素脆性割れ及び水素誘起割れが生じ、配管が曲がった状態で土砂により埋設されていたため軸方向の引っ張り応力が付加され、水素誘起割れの進展を助長させ、配管が薄くなって応力に耐えきれなくなり破断し、漏えいに至ったと推定しました。 このことから、配管が損傷したのは、土砂の埋め戻し時に誘導及び監視ができないグラブ浚渫工法を用いたこと及び経年的な変化が生じたのは、水素の影響を受けやすい防食電位であったことが原因と推定しました。 |
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是正処置の必要性の評価 (システムへの影響) |
海中放出管において、処理済み廃液が管路の途中から放出されることを防止するため、是正処置を行うこととしました。 |
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是正処置(計画)の内容 |
是正処置として、以下のことを実施しました。 (1) 埋設工法について 配管を敷設した溝の埋め戻しには、グラブ浚渫工法を用いず誘導及び監視ができる方法とし、大型の土のう袋又はスクレーパーを用いて土砂を溝に落とす工法を用いる。なお、本埋設工法を用いて復旧工事は既に終了している。 (2) 海洋作業のリスク評価 海洋作業のリスク評価を行う際は、専門的知見を加える。また、単位作業ごとに、配管に損傷が無いことを確認する。なお、復旧工事の実施に当たり、リスク評価及び配管に損傷が無いことを確認している。 (3) 腐食防止について 電気防食については、海中での配管の腐食防止ができ、また、ポリエチレン被覆が剥がれた箇所での水素の影響が抑制できるよう、防食電位を約−0.9V〜−1.1Vの範囲で管理する。なお、復旧工事の完了後は、この範囲で管理している。 |
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備 考 |
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