■■■   JAEAメールマガジン   ■■■

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012.7.13/No.232 ━━━

〔現場から〕239Pu NMR信号観測成功の舞台裏(先端基礎研究センター)

〔東日本大震災発生に伴う対応状況〕

〔お知らせ、採用情報、調達情報〕

= 現場から ==========================

239Pu NMR信号観測成功の舞台裏

核燃料物質として知られるプルトニウム(Pu)は、科学的にも特異な性質を多く有し、科学者を魅了し続けている物質です。その正体については未だ謎が多く、解明の鍵として、低エネルギーで原子核周辺の電子状態を知ることができる核磁気共鳴(NMR)法が有力な手段として注目されており、50年にわたり世界中の研究者がPuのNMR信号探索に挑戦してきましたが、成功した例はありませんでした。今回、私たちは米国ロスアラモス研究所(LANL)と共同で、世界初の239Pu NMR信号観測に成功しました。この成果は米国の科学雑誌「Science」( http://www.sciencemag.org/content/336/6083/901 )に掲載され、その号のハイライトに選ばれるとともに、LANLと原子力機構双方でプレス発表( http://www.jaea.go.jp/02/press2012/p12051701/index.html )を行っていますのでご覧ください。ここでは、私がこのプロジェクトに関わった経緯について触れたいと思います。
  2011年3月11日に東日本を襲った巨大地震は我々研究者の生活にも大きな影響を及ぼしました。私の研究グループでは数台の装置が落下損傷する程度でしたが、激しい余震が続くなか、本格的な実験を再開できずにいました。ちょうどそのころ、元先端基礎研究センター長で現在非常勤嘱託の安岡弘志先生が米国ニューメキシコ州にあるロスアラモス研究所(LANL)に在籍しておられ、夏の間一緒に研究をしないかと声をかけてくださいました。夏場の電力不足が懸念されていたので、米国ならば十分に研究できると思い渡米することにしました。
  ところが、米国出発の2日前、ロスアラモス近郊で山火事が発生し、ロスアラモスの町に避難勧告が出されたとの情報が入りました。安岡先生もロスアラモスを離れた都市部であるアルバカーキまで避難されていたのですが、ロスアラモスに雨期が近づいていたこともあって、早々に鎮火するだろうとの見込みから予定通り出国することにしました。一週間後、山火事は終息していないものの、ロスアラモス周辺部ではほぼ鎮火し避難勧告が解除されたため早々に町にはいりました。しかし、入居予定であったアパートのオーナーが避難から戻っていなかったので、安岡先生のアパートにしばらくご厄介になりました。避難勧告解除とはいえ、ロスアラモス付近の山の頂上から、モクモクと煙が上がるのが見え、夜には山が真っ赤に燃えるのが見えました。風向きによっては煙が町まで漂って来ることもありました。
  そういう状況でしたが、渡米2週間後にはなんとか実験を始めることができました。LANLでの私のプロジェクトはPu化合物を用いた核磁気共鳴法による物性研究でした。そのなかで最も挑戦的なプロジェクトは239Pu NMR信号の探索です。これは、50年にわたり科学者の挑戦を退け続けていた難事業です。山火事の影響からか測定に用いる試料がなかなか出来上がらず、この実験を始めることができたのは帰国一週間前。慌ただしく実験装置の準備をし、なんと最初の実験で世界初の239Pu NMR信号観測に成功しました。この発見は、複雑な要素が絡み合うPu金属ならびにその化合物の、未知の物性や機能を原子レベルで解読する道を拓くものです。
  日本における観測史上最大の大地震から逃げた先で、ニューメキシコ州観測史上最大の山火事に遭遇し、そのドタバタの中、239Pu NMR信号の歴史的発見をしました。
  2011年は善くも悪くも忘れられない一年になりました。

先端基礎研究センター 中堂 博之

= 東日本大震災発生に伴う対応状況 ===============

東京電力福島第一原子力発電所事故への対応を行っています。

原子力機構は東京電力福島第一原子力発電所事故に関して、さまざまな活動を行っています。その全般的な内容については下記をご覧ください。
  http://www.jaea.go.jp/fukushima/index.html

= お知らせ ==========================

幌延新地層研究センターは7月18−19日に道内で、調査研究成果報告会を開きます。

http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/press/12/press0710-02.html

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幌延新地層研究センターは7月中旬からボーリング調査を再開します。

http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/press/12/press0710-01.html

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東海研究開発センターは7月21日に「第18回サイエンスカフェinリコッティ」を開催いたします。

http://www.jaea.go.jp/04/tokai/science_cafe.html

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東濃地科学センターは7月21日に施設見学会を開催します。

http://www.jaea.go.jp/04/tono/kengaku/kengaku_miu2.html

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幌延深地層研究センターでは7月22日に施設見学会を開催します。

http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/kengaku_sunday.html

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J-PARCでは7月29日に施設公開を行います。

http://j-parc.jp/ja/topics/2012/jparc_ja.html#June_info0712

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大洗研究開発センターでは8月に、放射線取扱講座を開催します。

http://www.jaea.go.jp/04/o-arai/news/2012/120705-2.pdf

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「サマー・サイエンスキャンプ 2012」の参加者を募集しています。

外部リンク
  http://rikai.jst.go.jp/sciencecamp/camp/2012smr/program/pdf/program16.pdf
  http://rikai.jst.go.jp/sciencecamp/camp/2012smr/program/pdf/program18.pdf
  http://rikai.jst.go.jp/sciencecamp/camp/2012smr/program/pdf/program26.pdf
  http://rikai.jst.go.jp/sciencecamp/camp/2012smr/program/pdf/program39.pdf
  http://rikai.jst.go.jp/sciencecamp/camp/2012smr/program/pdf/program48.pdf
  http://rikai.jst.go.jp/sciencecamp/camp/2012smr/program/pdf/program52.pdf

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各種研修の募集について

http://nutec.jaea.go.jp/index.php

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週報(7月7日〜13日)

http://www.jaea.go.jp/02/press2012/p12071301/index.html
  http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2012/07/w120713.html
  http://www.jaea.go.jp/04/ztokai/repro/week/s120713/weekly.htm
  http://www.jaea.go.jp/04/tono/syuho/240707_240713.pdf

= 採用情報 ==========================

詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。

= 調達情報 ==========================

詳細は http://www.jaea.go.jp/02/2_6.shtml をご覧下さい。

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【配信希望、アドレス変更、配信停止】 http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】 http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

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【発行】 独立行政法人 日本原子力研究開発機構  広報部   佐田務、岡田学

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