━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.7.2 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.133 目次 ----++

現場から ____ 原子炉の核特性を実験により調べる。(原子力基礎工学研究部門)

広報紙から ___ 地下の構造を明らかにする調査手法を開発中(東濃地科学センター「地層研ニュース6月号」)

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

原子炉の核特性を実験により調べる−原子力基礎工学研究部門

原子力発電所では、ウラン235などの原子核に中性子が衝突して、その原子核が2つの原子核に分裂する際に発生するエネルギーを取り出して発電します。核分裂を起こす際には中性子が発生します。その中性子はさらに原子核の核分裂を連鎖的に引き起こします。核分裂の連鎖反応を引き起こしてエネルギーを発生させる場所が、原子力発電所の核心部である原子炉です。

現在、日本では主に水を冷却材にした原子炉(軽水炉)が稼働しています。また、ナトリウムを冷却材にした原子炉(高速増殖炉)として、最近、「もんじゅ」が再稼動し性能試験を行っているところです。今後は、プルトニウムを燃料に混ぜたプルサーマル軽水炉の稼働が予定されているとともに、ウラン235の濃縮度を高めて燃料をより長期間利用して経済性の向上を図る次世代軽水炉や、原子炉を大型化して電気出力を大きくして経済性の向上を図る高速増殖炉実証炉や実用炉の開発が計画されています。

次世代軽水炉、高速増殖炉実証炉や実用炉などの新しい原子炉を開発するためには、原子炉での中性子のふるまいや中性子と原子核の反応の特徴、すなわち原子炉の核特性を把握することが重要です。近年は、計算機能力が発達するとともに、開発に必要なデータが整備充実されてきたので、新しい原子炉の性能をおおよそ予測することは可能になりました。しかし、実際に新しい原子炉を建設するような場合には、その性能について高い信頼性を有する評価や、設計裕度に関する適切性についての評価によって、安全・安心を確保する必要があります。それには実際の原子炉の様々な現象や特性のうち、核分裂連鎖反応だけを取り出して研究する装置(このような装置を、「臨界実験装置」と呼びます)を用いて、原子炉の核特性を実験的に把握することが最も有力な方法です。

原子力機構では、このような状況に対応するために、臨界実験装置を活用した研究を実施しています。臨界実験装置は、きわめて低い出力で運転され、燃料組成や配置、炉心形状を容易に変更でき、また、原子炉の核特性データを精度よく測定できることが特徴です。このような特徴を活かして、多様な原子炉を模擬した体系を構築し、測定結果から核特性を把握したり、また、新しい原子炉において考えられている新たなアイデアや新たな物質を試験することができます。さらに、燃料組成や配置、炉心形状を系統的に変更して、原子炉の核特性の系統的な変化を調べることができます。臨界実験装置を活用して実験的に得られた原子炉の核特性の高品位なデータは、原子炉の核特性を解析する計算技術の検証・改良、具体的には、解析に使用している核データ及び解析手法の検証・改良につなげることができます。以上のような実験研究を通じて、原子炉の核特性・性能を原子炉の設計段階において担保することを目指しています。

また、臨界実験装置を用いて、核分裂連鎖反応が起きる条件について実験的に調べることを通して、不用意に核分裂連鎖反応が起こらない安全対策(このような対策を「臨界安全」と呼びます)の計算シミュレーション技術について、検証することができます。このことから、臨界実験装置を用いた実験は、原子炉以外の核燃料サイクル施設(たとえば、燃料加工施設、再処理施設、貯蔵施設など)における臨界安全に関する設計検討にも大きく寄与することができます。

原子力科学研究所には、いくつかの臨界実験装置があります。高速増殖炉を主な対象とした高速炉臨界実験装置(FCA)、軽水炉を主な対象とした軽水臨界実験装置(TCA)、燃料サイクル施設における臨界安全を研究するための臨界実験装置としてのSTACYやTRACYがあります。いま、これらの臨界実験装置の中で、TCAとSTACYの機能を統廃合し新たな軽水炉臨界実験装置を整備する計画を進めています。この新しい臨界実験装置を活用した実験研究により、次世代軽水炉、プルサーマル軽水炉等の将来の軽水炉や多様な燃料を対象とした核燃料サイクル施設の経済性や安全性の一層の向上に応えたいと考えています。

(原子力基礎工学研究部門 炉物理研究グループ)

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

FIFAワールドカップの決勝トーナメントもいよいよ終盤。残念ながら、日本は敗退しましたが、国の威信をかけた真剣な勝負は大変興味深く、毎試合の観戦を楽しみにしています。

先日、地元中学生の総合体育大会の地区大会が、開催されていました。三年生は負ければ引退となる最後の公式試合です。野球、テニス、サッカー等が屋外で行われていましたが、生徒たちはワールドカップの選手同様に、全力を尽くして競技に取り組んでいました。

真剣に取り組む姿勢は、周りから見ても魅力的です。私も何事に対しても真剣に取り組む姿勢を持ち続けたいと改めて感じました。(広報課 櫻井 敏久)

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行  ○

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