━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.6.11 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.130 目次 ----++

現場から ____ 「熟練技に支えられ進められるNSRR実験計画」(安全研究センター)

海外事務所便り _ 米GAOが原子力安全条約の強化を求める報告書を発表 ほか

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「熟練技に支えられ進められるNSRR実験計画」−安全研究センター

燃料安全研究グループは、軽水炉等で想定される反応度事故(RIA)を模擬した照射実験を東海研究開発センターにあるNSRR(原子炉安全性研究炉)において実施しています。RIAは原子炉の出力を調整する制御棒が何らかの原因で原子炉から飛び出すなどして起こり、急激な出力上昇によって燃料棒が破損する可能性があります。RIA模擬実験を行うことにより、燃料棒の破損条件や破損時の燃料棒挙動に関するデータを取得することができます。実験の実施にあたっては、NSRRの運転を行う研究炉加速器管理部・NSRR管理課および実験前後に燃料棒の詳細分析を行うホット試験施設管理部の協力が不可欠です。今回は、RIA模擬実験を支えるNSRRと燃料試験施設での作業と試験・分析について紹介します。

RIA模擬実験には、欧州や国内の発電所で照射された燃料棒を用います。まず、燃料試験施設に搬入された照射済燃料棒(長さ0.5〜4m)を8〜15cmに切断します。次に、ホットセルの中に設置された専用の切削装置や溶接装置などを用い、切断した燃料棒の両端に遠隔操作で端栓及び圧力計を溶接します。原子炉中で長期間照射された燃料棒(高燃焼度燃料棒)では、材料が腐食したり脆くなっていたりしているため、未照射の材料を溶接するのとは比べものにならないほど注意深くこれらの作業が進められています。完成した実験用燃料棒は、リーク検査、外観観察、燃料棒寸法測定等の各種試験が実施された後に燃料試験施設からNSRRに輸送されRIA模擬実験が行われます。実験終了後は、再び燃料試験施設に輸送され、外観観察、寸法測定、X線透過試験、ミクロ組織観察等20項目もの試験が行われます。照射済燃料棒に対するこうした準備作業および試験は1989年から行われており、燃料試験施設のメンバーの慎重な作業と熟練により貴重な燃料棒を有効に活用し計画通りに試験が進められています。

NSRR施設に搬入された実験燃料棒には、温度を測定するための熱電対などを取付けます。太さ0.2mmの熱電対を燃料棒表面に溶接する際には、NSRR管理課が開発した自動溶接装置を用います。溶接の前処理や溶接に際しては、燃料棒の破損に影響を与えないよう繊細な作業が要求されます。計装を取付けた実験燃料棒は、厚い壁を持つステンレス製の2重カプセルに収められ、さらに、燃料棒の長さ変化を測定するための伸び計、燃料棒破損時に発生するエネルギーを評価するための計装などが取付けらます。カプセル内の限られたスペースの中で多くの計装を取付けるために、組立て方法に工夫をこらし多くの経験を積んで来ました。また、カプセルの設計、材料手配、製作及び組立ては国の審査や検査を受ける必要がありますが、多くのカプセルを製作してきた経験を活かし今では円滑に進めることができるようになりました。

NSRRは、数1/1000秒という非常に短い時間に、最大出力23000MWという発電炉の約7倍もの大きな出力を出すことができます。カプセルに入れられた燃料棒は、NSRRにおいて照射され、どれくらいのエネルギーを与えれば破損するのか、どのようなメカニズムで破損するかなどが調べられます。現在は、新しい材料を使った改良型燃料棒を欧州から輸送し実験を行う計画を進めており、計画の遂行に向けてNSRR管理課およびホット試験施設管理部とともに頑張っております。

(安全研究センター 燃料安全研究グループ 笹島 栄夫)

━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。

☆ ワシントン事務所
<政府説明責任局が国務省に対し、原子力安全条約の強化を求める報告書を発表>
 政府説明責任局(GAO)は6月1日、国務省に対し、IAEAの原子力安全条約の強化を求める報告書を発表しました。
 http://www.gao.gov/new.items/d10489.pdf

<ホワイトハウスが政府融資保証の増額を議会に要求>
 ホワイトハウスの予算管理局(OMB)は5月24日、議会に対して新規原発建設及び再生可能エネルギー開発に関する政府融資保証の2010年度における増額を要求しました。
 http://www.nei.org/newsandevents/newsreleases/nei-praises-loan-guarantee-increase-in-administrations-supplemental-spending-request/

<PSEGが事前サイト許可申請を提出>
 Public Service Enterprise Group (PSEG)は5月25日、NRCに対しニュージャージー州にあるSalem-Hope Creek原子力発電所サイトを候補地とする事前サイト許可申請を提出しました。
 http://www.pseg.com/media_center/pressreleases/articles/2010/2010-05-25.jsp

☆ ウィーン事務所
<IAEA、使用済燃料の管理に関する専門家によるアイデアと経験を交換>
 IAEAとOECD/NEAは5月31日から6月4日の週に、「原子力発電所からの使用済燃料の管理に関する国際会議」を開催しました。会合では使用済燃料の管理に係る情報収集や分析などについて話し合われました。
 http://www.iaea.org/NewsCenter/News/2010/ifsfm.html

<IAEA理事会に最新の保障措置報告書を提出>
 IAEAの天野事務局長はこのほど理事国35ヶ国に、イランとシリアの保障措置に関する報告書を配布しました。
 http://www.iaea.org/NewsCenter/News/2010/iransyriareport310510.html

☆ パリ事務所
<ベルギーで高レベル放射性廃棄物の消滅処理研究実験施設を開所>
 ベルギーのSCK-CENとフランス科学研究センター(CNRS)はこのほど、アントウェルペン郊外で、高レベル放射性廃棄物の消滅処理を行う高速中性子炉の実験施設「Guinevere」を開所しました。

<仏アレバ社、露への劣化ウランの輸送は2010年が最後>
 仏アレバ社は5月29日、ロシアへの劣化ウランの輸送を停止すると発表しました。
 http://www.areva.com/EN/news-8401/termination-of-depleted-uranium-transports-to-russia-the-facts.html

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

6月から7月下旬にかけて降り続く長雨が、梅雨。この梅雨が来る前に、ぐずついた天気が続くことがあります。これが走り梅雨。前梅雨、迎え梅雨ともいいます。

さて関東の梅雨入りは、例年より少し遅れ気味ですが、もうすぐすると、青葉に降り注いで、緑を鮮やかに彩る雨が降ります。これが青梅雨。ざーっと降ってさっとやむのが、男梅雨。これが激しくなると、荒梅雨、暴れ梅雨と名前を変えます。

ところが年によっては、顕著な梅雨前線が現れず、まとまった雨が降らないことがあります。水不足をもたらす空(から)梅雨。さらに旱(ひでり)梅雨までいけば、農家の田畑への影響は甚大です。

そして梅雨の終わりごろに、ひとしきり強く降る雨が、送り梅雨。これがすむと日本列島は太平洋高気圧におおわれ、本格的な夏がやってきます。(佐)

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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行  ○

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