━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.1.22 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.111 目次 ----++

現場から ____ 世界有数の大型照射施設(高崎量子応用研究所)

海外事務所便り_ フランスとクウェートが原子力協力合意に調印 ほか

広報紙から___  ITER用ダイバータ試験体の評価試験に合格(「JAEAニュース」No.34)

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

世界有数の大型照射施設−高崎量子応用研究所

群馬県高崎市にある高崎量子応用研究所には、放射線利用の新分野を開拓するためのコバルト60ガンマ線照射施設と電子線照射施設があります。ガンマ線照射施設には、3つの照射棟に合計8つの照射室があり、低線量率から高線量率までの約6桁にわたる広い範囲で任意に照射できる世界唯一の施設です。一方、電子線照射施設には、最高電子エネルギー2MeV及びビーム出力60kWの工業用電子加速器があり、垂直・水平の2方向で電子線が利用できます。いずれの施設においても、雰囲気のガス種類や温度を変えた照射など、様々なニーズに対応した利用が可能です。

これらの施設では、主として、放射線分解/橋かけ/グラフト重合反応等の放射線化学反応に関する基礎研究や、実用化を目指した環境浄化材料などの新機能性材料の開発、排気ガス中の有害物質の分解・除去技術の開発とともに、宇宙・原子力分野で使用される材料・機器部品等の照射効果研究や耐放射線性評価などが行われています。また、民間企業との共同研究で得られた成果等による実用化も多く、カニ殻などの放射線分解を用いた植物成長促進剤、不織布等のグラフト重合を用いた浄化フィルター、あるいは環境にやさしい素材の放射線橋かけを用いた靴ずれ防止テープなど、放射線を利用した技術を活かした日常生活用品が既に一般で用いられています。

また、施設利用の信頼性向上のため、例えば、医療用具の放射線滅菌プロセスの工程管理に使用される「線量計」と呼ばれる放射線量の測定器の開発や、さらにはそれらの測定器を校正するための基準を提供するいわゆるトレーサビリティシステムの構築に向けた技術開発にも取り組んでいます。

建設後40年以上経た現在でも、本施設は依然として世界有数の大型照射施設として特に放射線工業利用の開発拠点の役割を果たしています。利用者や従事者の安全確保を最優先で運営をしており、着実に進んでいる高経年化に対応して、法定点検以外にも定期自主点検や放射線劣化した照射室内構成部品等の定期交換・整備等を実施しています。また、予兆・トラブルとその予防・対処事例等を整理することにより、故障等によるロスタイムを低減し、稼動効率を上げる努力をしています。

なお、高崎量子応用研究所には、イオンビームと呼ばれる放射線についても、世界で初めて材料・バイオ研究分野に特化して建設されたユニークな加速器施設であるイオン照射研究施設(原子力機構ニュースVer.53参照 http://www.jaea.go.jp/14/back/mg080222.html)があり、電子線・ガンマ線・イオンビームといった多様な放射線が一箇所で利用できます。

(高崎量子応用研究所のホームページ:http://www.taka.jaea.go.jp/

(高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部 照射施設管理課長 金子広久)

━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。

☆ ワシントン事務所
<シンクタンクが原子力をめぐる状況を予測>
 National Center for Policy Analysisは12月30日、"Nuclear Power and the US Energy Future"と題する報告書を発行した。
 http://www.ncpa.org/pdfs/ba683.pdf

☆ パリ事務所
<フランスとクウェートが原子力協力合意に調印>
 フランスとクウェートが1月14日、原子力分野の協力合意に調印した。

<AREVAが国際原子力リサイクル会議>
 仏AREVAは2月18日にパリで、第1回国際原子力リサイクル会議を開催する。
 http://recyclingday2010.com/

☆ ウィーン事務所
<リトアニアの原発が閉鎖>
 リトアニアは12月31日、イグナリナ原子力発電所2号機を閉鎖した。

<EU内でのIAEA統合保障措置実施の取極に合意>
 IAEAは1月8日、EU内の実質的な原子力活動を行っている非核兵器国における統合保障措置実施に関する取極に合意したと発表した。
 http://www.iaea.org/NewsCenter/PressReleases/2010/prn201001.html

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

ITER用ダイバータ試験体の評価試験に合格―熱負荷耐久性能を実現し、量産化へ向けた研究へ
 ITER(国際熱核融合実験炉)計画を成功させるために、各国で研究開発が進んでいます。日本では核融合炉内機器の1つであるダイバータの試験体の製作を担当。ITER 工学設計の活動に基づき、世界で初めて高熱負荷試験に成功し、実機製作に向けたフルスケール化と量産化の研究開発に一歩踏み出しました。(続きは「JAEAニュース」 No.34 http://www.jaea.go.jp/05/5_4.shtml をご覧ください)

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細はhttp://www.jaea.go.jp/saiyou/index.htmlをご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

先日、海沿いを走るJRの特急に乗りました。特急だったのだけれども、途中からはほとんど各駅に停車します。車内を見まわしても、あまり特急という風でもありません。速さといいグレードといい、少し前なら急行、もっと昔なら準急という体でした。

JRの急行はダイヤが改正されるごとにその数を減らし、今ではなかなかお目にかかれない存在となりました。だから、各駅停車より速い列車はだいたい、特急になります。特急とは、もともとは特別急行の略。けれども実情は、ほとんど急行そのものでしょう。今は新幹線が、昔の特急のイメージでしょうか。

ここでは名称のインフレが起こっています。これは、加上の理論と呼ばれることがあります。クルマを例にとれば、スーパーサルーンの上にさらにスペシャル、リミティッドの名称がつくことがあります。カタカナだとウルトラ、エキストラ、和文字だと特製、特級、超特級などが、巷の商品名にはあふれています。

けれども、こんな「特別」な言葉もだんだんと、先の特急のような運命をたどるのかもしれません。次は、これらをしのぐ、どんな言葉が発明されるのでしょうか。あだ花にも似たコピーライティングの世界は、どうやらとどまることを知らない世界のようです。(さ)

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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行 JAEAロゴ ○

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