━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009.10.30 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.100 目次 ----++

現場から ____ 核データを調べる、まとめる−原子力基礎工学研究部門

海外事務所便り_ DOEの原子力予算、新規の原発建設支援が増加

広報紙から___  第9回跡利用検討委員会を開催(東濃地科学センター「地層研ニュース」)

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

核データを調べる、まとめる − 原子力基礎工学研究部門

原子力基礎工学研究部門は、原子力機構のみならず我が国の原子力利用を横断的に支え、さらには、新しい知識や技術概念を獲得・創出するための基礎基盤的研究を行っています。具体的には、核工学・炉工学、核燃料、原子力材料、環境科学、放射線防護などの基礎研究分野に加えて、使用済み核燃料の貯蔵負担を軽減するための放射性核種の分離変換、高温ガス炉からの核熱を利用した水素製造といった革新的な技術開発を実施しています。

もっとも原子力基礎工学らしい項目の一例として、「核データ」という分野があります。例えば、「ウランという元素の中で、質量数235のものは、自らも自然崩壊して中性子を放出する一方、その中性子が別のウラン235に当たると分裂(これを核分裂と言います)して、その際も中性子を出す。さらには、中性子は核分裂により発生したときの高エネルギー状態より、低いエネルギー状態にした(これを減速と言います)方が次のウラン原子を分裂させやすい。」といったことは、お聞きになったことがあると思います。

これは現在の軽水炉の基礎になっている現象で、上記のような原子核と中性子の反応の「どういった核種に」「どれくらいのエネルギーの中性子があたると」「どのような反応が起きるか」を定量的に表したものが核データです。また、それらを系統的に取りまとめたものが核データライブラリーです。

原子力科学研究所の研究炉(JRR-3M)やタンデム加速器は、核データ測定のためにも重要な研究施設です。さらに、これまで取得できなかったエネルギー領域の核データを取得するため、大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設に最新の核データ測定施設を設置しました。ここでは主に、従来信頼できるデータが少なかったマイナーアクチノイド核種(ウラン、プルトニウムよりさらに重い核種)や長寿命核分裂生成核種を対象とし、分離変換研究のための重要な核データを提供します。

私たちは、核データの高精度化や測定技術開発を通して、宇宙核物理研究や核種分析研究にも貢献できることを目指しています。

一方、原子力機構では、旧原研時代より、世界でも有数の核データライブラリーJENDLを発行してきています。近年では、高速炉や分離変換に関する研究の展開に対応して、今まで比較的手薄であったマイナーアクチノイド核種に関する核データの充実や精度向上を目指して最新版のJENDL-4を公表すべく、準備を進めています。核データライブラリーは原子炉の設計や核燃料の臨界管理等に使用されるために作成しています。使用に当たっては十分な精度が保証されなければなりません。このため、バラツキのある測定データや様々な原子核モデル計算を駆使して、信頼性のある唯一のデータとして提供する必要があります。原子核の測定やモデル計算の精度と原子炉の設計などで要求される精度の間には大きなギャップがあります。このギャップを埋めて、科学と技術の架け橋となるのが核データライブラリーです。JENDL-4では利用者の要求に十分に応えられるよう努力しています。

原子力基礎工学研究部門 研究推進室

━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。

DOEの原子力予算、新規の原発建設支援が増加

米国議会の両院協議会が9月30日に開かれ、米国エネルギー省DOEの2010年度予算額を約270億ドルとする内容が固まった。このうち原子力予算は約8億7千万ドル。研究開発分野では核燃料サイクル関連が政権要求額よりは削減されたが2009年度と同レベルとなった、その一方で、原子力発電2010計画とGen.IV原子力システムは政権要求額より増額された。Gen. IV原子力システム予算には高温ガス炉開発を目的とした次世代原子力発電所(NGNP)予算がかなりの額を占めている。原子力発電2010計画は、米国内での新規原発建設を推進するため、電力会社と原子炉メーカーを支援するためのもの。なお原子力産業界からは、この増額が不十分であるとする意見が表明されている。

新規原発建設計画については、アラバマ州やニュージャージー州などで新たな計画の発表があるものの、米国原子力規制委員会NRCへの申請を提出している計画の中止を示唆する動きもあり、一進一退の状況が続いている。

ヤッカマウンテン計画については、議会からの予算復活の措置もなく、計画としては凍結された状態が継続。その代替案を検討するための特別委員会の設置に関する大きな動きはないが、放射性廃棄物技術審査委員会が特別委員会に先立ち、独自に代替案の技術的提言を行うための活動を開始したことは注目に値する。

またテキサス州環境品質委員会は 9月10日、Waste Control Specialists(WCS)がテキサス州に建設を計画している低レベル廃棄物処分場について、最終許可を与えた。米国では国立研究所、原子力発電所等から発生する低レベル放射性廃棄物の処分についても、利用可能な処分場が限定されていることから、大きな課題となっている。そのような中で、テキサス州での新規処分場建設が認められたことは、大きな前進と言える。(ワシントン事務所)

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

第9回跡利用検討委員会を開催しました

平成21年10月9日、第9回超深地層研究所跡利用検討会を瑞浪市産業振興センターで開催しました。この委員会は、超深地層研究所における地層科学研究が終了した後の施設の跡利用について検討する委員会です。(詳しくは東濃地科学センター「地層研ニュース」10月号 http://www.jaea.go.jp/04/tono/miu_news/tisouken_news2110.pdf をご覧下さい)

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細はhttp://www.jaea.go.jp/saiyou/index.htmlをご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

JAEAメールマガジンも今回で100号を出すことができました。皆様からのご意見などを参考にさせていただき少しずつ改良を加えてきました。今後ともよろしくお願いします。

さて先週は、オリオン座流星群がピークを迎え私も観察を試みました。空が暗いと思っていた東海村でも街灯や家の明かりなどの影響し空が明るく良いスポットが見つからず苦労しました。26日は原子力の日。エネルギーの恩恵を享受し便利で快適になった世の中と自然や環境のバランスを考え調和と共生を流れ星に誓うのでした。(上)

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行 JAEAロゴ ○

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