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原子力機構ニュースロゴ    Ver.45 発行 2007.10.26  日本原子力研究開発機構 広報部
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 10月25日には、私ども原子力機構の第2回報告会を開催させて頂きました。当日は、天候にも恵まれ、お陰さまをもちまして約800名の皆様にご参加いただき、盛会なものとなりました。足をお運びいただきました皆様に改めて御礼申し上げます。このような機会を通じて、私どもの業務について皆様にご理解いただけるよう今後とも努めてまいります。当日の様子はHPにも後日掲載いたしますので、どうぞご覧ください。
 さて、今回の「研究開発現場から」は、地層処分技術に関する研究開発を行っている地層処分研究開発部門からです。

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【研究開発現場から】 地層処分研究開発部門 ニアフィールド研究グループ 中間 茂雄
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 今回は私たちの研究テーマ「地層処分における人工バリアの複合現象を解明:熱-水-応力-化学連成試験装置を用いた研究」について紹介したいと思います。

 わが国の核燃料サイクルにおいて発生する高レベル放射性廃棄物は、再処理の結果生じる廃液をガラス原料と混ぜて加熱・溶融し、物理的・化学的に安定な性質を有するガラス固化体にします。国の計画では、これを冷却のため30年から50年間程度地上で保管した後、地下300mよりも深い地層(岩盤)中に処分(地層処分)することとしています。この地層処分では、高レベル放射性廃棄物を天然の岩盤(天然バリア)と人工的に構築する障壁(人工バリア)を組み合わせた多重バリアシステムにより、数万年以上にわたって人間の生活環境から隔離すること(長期安全性の確保)を意図しています。

 この地層処分システム性能の信頼性をさらに向上させるためには、廃棄物を処分した後の人工バリアとその周辺岩盤(ニアフィールド)において複合的に作用する様々な現象を詳細に理解しておく必要があります。現象には、廃棄物の発熱による熱影響、周辺岩盤から人工バリア構成要素の一つである緩衝材(粘土を主成分)への地下水の浸入とそれに伴う緩衝材の膨潤、緩衝材中の鉱物と地下水との化学反応による水質の変化などが相互に影響し合うことが想定され、私たちはこれらを総合的に評価するために、複合現象を適切に表現できる熱-水-応力-化学連成モデル/コードの開発を進めているところです。またモデル/コードの開発と並行して、地層処分基盤研究施設(略称:エントリー)において連成挙動を工学規模で把握するための試験装置「COUPLE」を用いた試験を実施しています。これにより、実際に緩衝材の中で生じる温度、水分、間隙水圧などの分布を直接モニタリングするとともに、試験後の緩衝材からサンプルを取り出し、化学的影響が及んだ範囲などを調べ、モデルの確証に反映させています。

 この研究の当面の大きな課題は、化学現象と他の現象(熱-水-応力)との連成挙動のモデル化が十分でない点が挙げられ、このため試験を通じたデータ収集によりモデルの信頼性を向上させているところです。私自身、本研究に携わってから3ヶ月程度でして(以前は東濃地科学センターにおいて岩盤力学に関する研究に携わっていました)、最近ようやく研究の全体像が掴めてきたかなという状況です。本研究に携わるまでは、私は「応力」に関する研究を専門におこなってきましたので、これからは、まずは得意分野の力学現象を中心に化学現象との関係を理解していきたいと考えています。

【地層処分研究開発部門の概要】
 地層処分技術に関連する研究開発は、東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所(茨城県那珂郡東海村)、幌延深地層研究センター(北海道天塩郡幌延町)および東濃地科学センター(岐阜県土岐市/瑞浪市)で実施されています。

 核燃料サイクル工学研究所では、エントリーや地層処分放射化学研究施設(略称:クオリティ)といった室内試験施設を活用して、処分場の工学技術の信頼性向上や安全評価手法の高度化に関する研究開発をおこなっています。幌延深地層研究センターでは、幌延深地層研究計画として、堆積岩を対象とした深地層の科学的研究に加えて、処分技術や安全評価手法に関する研究開発についても実施しています。東濃地科学センターでは、地質環境の長期安定性に関する研究や、超深地層研究所計画を中心に結晶質岩を対象とした深地層の科学的研究を行っております。(ホームページ → http://www.jaea.go.jp/04/tisou/toppage/top.html

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【最新情報】
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07.10.18<プレス発表>高速実験炉「常陽」管理区域内における放射性物質を含む水の漏えいに関する報告(最終報)について掲載しました。
07.10.19<プレス発表>定常臨界実験装置(STACY)及び過渡臨界実験装置(TRACY)に係る措置命令に対する是正措置と使用停止命令の解除について掲載しました。
07.10.19<プレス発表>新型転換炉ふげん発電所における原子炉補助建家の構造健全性評価結果について掲載しました。
07.10.19<プレス発表>東海研究開発センター原子力科学研究所敷地境界フェンス(南側)の損壊について掲載しました。
07.10.24<プレス発表>イーター(ITER)協定に基づく国内機関の指定について掲載しました。
07.10.24<プレス発表>東海研究開発センター原子力科学研究所敷地内(南地区)への建造物侵入について掲載しました。
07.10.18<お知らせ>「将来の核燃料サイクルの先進的保障措置に関するワークショップ」開催について掲載しました。
07.10.19<お知らせ>「もんじゅ」に関する説明及討論会の開催について掲載しました。

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【プレス発表】
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平成19年10月18日、高速実験炉「常陽」管理区域内における放射性物質を含む水の漏えいに関する報告(最終報)について掲載しました。
http://www.jaea.go.jp/02/press2007/p07101801/index.html

平成19年10月19日、定常臨界実験装置(STACY)及び過渡臨界実験装置(TRACY)に係る措置命令に対する是正措置と使用停止命令の解除について掲載しました。
http://www.jaea.go.jp/02/press2007/p07101903/index.html

平成19年10月19日、新型転換炉ふげん発電所における原子炉補助建家の構造健全性評価結果について掲載しました。
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2007/10/p071019.pdf

平成19年10月19日、東海研究開発センター原子力科学研究所敷地境界フェンス(南側)の損壊について掲載しました。
http://www.jaea.go.jp/02/press2007/p07101901/index.html

平成19年10月24日、イーター(ITER)協定に基づく国内機関の指定について掲載しました。
http://www.jaea.go.jp/02/news2007/071026/index.html

平成19年10月24日、東海研究開発センター原子力科学研究所敷地内(南地区)への建造物侵入について掲載しました。
http://www.jaea.go.jp/02/press2007/p07102401/index.html

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【お知らせ】
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平成19年10月18日、「将来の核燃料サイクルの先進的保障措置に関するワークショップ」開催について掲載しました。
http://www.jaea.go.jp/04/np/shiryou/asws2007/index.html

平成19年10月19日、「もんじゅ」に関する説明及討論会の開催について掲載しました。
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/josirase/071027monju.pdf

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【採用情報】
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量子ビーム応用研究部門光量子ビーム応用研究ユニットでは、特定課題推進員を募集します。
書類提出期限:平成19年10月31日(水)
http://www.jaea.go.jp/saiyou/employment/employment25.html

光医療研究連携センターでは、特定課題推進員を募集します。
書類提出期限:平成19年11月2日(金)
http://www.jaea.go.jp/saiyou/employment/employment27.html

量子ビーム応用研究部門光量子ビーム応用研究ユニットでは、任期付研究員を募集します。
書類提出期限:平成19年11月7日(水)
http://www.jaea.go.jp/saiyou/employment/employment26.html

量子ビーム応用研究部門では、グループリーダーを募集します。
書類提出期限:平成19年11月15日(木)
http://www.jaea.go.jp/saiyou/employment/employment29.html

高崎量子応用研究所では、特定課題推進員を募集します。
書類提出期限:平成19年11月16日(金)
http://www.jaea.go.jp/saiyou/employment/employment28.html

原子力基礎工学研究部門では、グループリーダーを募集します。
書類提出期限:平成19年11月22日(木)
http://www.jaea.go.jp/saiyou/employment/employment30.html

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【調達情報】
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平成18・19年度 一般競争(指名競争)参加資格審査申請書の受付について。
http://www.jaea.go.jp/02/format/index.html

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■申し込みいただいた皆様に独立行政法人日本原子力研究開発機構の情報を配信しております。

■アドレス変更・配信停止については、以下のホームページをご覧ください。
  http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

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【編集・発行】独立行政法人日本原子力研究開発機構 広報部広報課
         http://www.jaea.go.jp/

【お問合わせ】お問い合わせフォームより → http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml
 原子力機構ホームページ、メルマガへのご意見、ご質問、お問い合わせなど皆様の声をお寄せください。

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