Q: 「常陽」の名前の由来を教えてください。
A: 常陽というのは、江戸時代に常陸の国を中国風に呼んだ名称です。高速実験炉「常陽」の設置場所大洗は、太平洋に面した明るく雄大な地形にあり、まさに「常陽」の名にふさわしい所です。また、この地には常陽明治記念館(現、幕末と明治の博物館)があり、明治維新の志士達の遺墨が集められ、日本の教学の殿堂の観を呈しています。
 ここに現代科学技術の最先端をゆく高速実験炉が建設されるにあたり、科学と教学の調和両立を念願して、「常陽」という名が冠せられました。

Q: 高速増殖炉の仕組みを教えてください。
A: 高速増殖炉は、高速の中性子で核分裂を起こさせ、核燃料を増殖することができる原子炉です。つまり、燃焼により消滅した核燃料より多い量の核燃料を生成することです。
 天然に存在するウランは、核燃料として利用できるU-235が0.7%程度しか含まれておらず、大部分がそのままでは利用できないU-238です。そのU-238は原子核が中性子を1個吸収することにより、核燃料として利用できるPu-239となります。高速炉の核燃料は、プルトニウム(Pu)とウラン(U)の混合酸化物燃料ですので、このPu-239を燃焼させ余った中性子をU-238に捕獲させPu-239を生成します。これを、実現させるためU-238でつくったブランケット燃料と呼ばれる燃料集合体を炉の中に入れ、増殖させます。

Q: 冷却材として水ではなく、なぜナトリウムを使うのですか。
A: 核分裂の際、原子核から放出された高速の中性子は、冷却材など周囲の媒質の原子核との衝突により減速されます。減速効果は、水素のような質量数の小さな原子核で大きくなるので、水など質量数の小さな原子を含むものより、中性子が衝突により失うエネルギーの少ない質量の大きなナトリウムが冷却材に適しています。また、ナトリウムは、沸点が1気圧で880℃と高いため加圧する必要がなく、常圧系統で使用できます。さらに、@熱伝導度、比熱、比重等の物性が熱輸送媒体として適している。A適切な純度管理を行えばステンレス鋼との共存性が良い。B安価である。などの利点があります。ただし、@化学的に非常に活性である。A常温下では固体であるため系統に予熱装置が必要。など取扱が難しい欠点もあります。

Q: 「常陽」での放射線管理はどのように行っているのですか。
A: 一般的に放射線管理は、人間の体外にある放射性物質 から発生する放射線によって被ばくする“外部被ばく管理 ”、人間の体内に取り込んでしまった放射性物質からの放射線によって被ばくする“内部被ばく管理”、汚染したものが外部に持ち出されないよう防護する“防護管理”があります。以下に「常陽」での管理を示します。
*放射性物質 :放射線を出す物質
 【外部被ばく管理】
常に現場の線量率の測定をしています。
線量率が高い場所では遮へいをして、不要な被ばくを防ぐようにしています。
線量率が高い場所は、立入禁止や立入制限区域として、不要に被ばくする人をなくしています。
線量率が高いものを直接取り扱うことがないように、遠隔操作のための装置や器具を使用して不要な被ばくを防ぐようにしています。
作業前には、綿密な打ち合わせを実施して、作業が短時間で終了するようにしています。
現場に立ち入るときは、必ず線量計を携行して、作業中の線量率を測定し、管理しています。
*線量率 :単位時間当たりの線量(放射線の量(強さ))
 【内部被ばく管理】
常に現場の空気中のほこりを収集して、付着している放射性物質の量を測定し、管理しています。
現場の空気中のほこりが、放射性物質に汚染されている可能性がある場合は、特別な装備で作業を行います。
口から放射性物質を取り込むことを避けるため、現場では口に物を入れないようにしています。
定期的に体内の放射性物質の量を測定して、作業中に放射性物質を取り込んでいないことを確認しています。
*汚染 :人や物の表面に放射性物質が付着すること
 【防護管理】
現場から持ち出す物は、全て表面に付着している放射性物質の量を測定して、汚染のない物のみを持ち出しています。
現場から退出する場合は、体の表面の放射性物質の量を測定して、汚染のない場合はそのまま退出し、汚染が発見されたら汚染の除去(除染)を実施します。
施設から排出される空気や水は、全て排出前に含まれている放射性物質の量を測定して、 異常があれば排出しません。
*除染 :人や物から放射性物質による汚染を取り除くこと
このようにして「常陽」では、放射線や放射性物質を取り扱う現場を管理区域として設定して、管理区域の中に入る人が外部被ばくや内部被ばくをしないように、また汚染が管理区域の外へ持ち出されないように特別に管理しています。
*管理区域 :放射線による個人被ばく及び物品の出し入れなどが管理されている区域

Q: 見学をしたいのですが、どこに申し込みをすればよいのでしょうか。
A: 大洗研究所 “見学申込・お問い合わせ”からお申し込みください。
*大洗研究所 管理部 総務・共生課が対応します