平成29年7月20日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

包括的核実験禁止条約(CTBT)の遵守検証能力を強化するための
放射性希ガス共同観測プロジェクト立上げについて
-北海道幌延町及び青森県むつ市が観測候補地-

【発表のポイント】

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄、以下「原子力機構」)核不拡散・核セキュリティ総合支援センターでは、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会と共同で地下核実験の検知/同定に重要な役割を果たす放射性希ガス(キセノン)の観測を移動型観測装置を用いて実施することになりました。本共同観測は、度重なる北朝鮮の核実験及びCTBTOの国際監視制度(IMS)整備の推進を奨励した2016年の国連安保理決議の採択を踏まえ、CTBTOの核実験検知能力強化を目的として本年2月に日本政府がCTBTOに対して行った拠出を活用して行われるものです。

CTBTOの規定に基づき、核実験検知のためのIMSが暫定的に運用されており、その一部として地球規模での放射性キセノン観測ネットワークが構築されています。日本国内では原子力機構が群馬県高崎市において継続的に観測を行うとともに、過去2回むつ市において移動型希ガス観測装置により数ヶ月間観測しました。今般の移動型観測装置を用いた観測について、CTBTOは、科学的見地等を踏まえ、IMSの核実験検知能力を効果的に強化する観点から、当面の間日本の北海道から東北で観測を行うこと、既に日本での観測に経験と実績のある原子力機構を実施協力機関とすることが目的に適うとしており、原子力機構が有する研究開発拠点を中心に検討した結果、北海道幌延町の「トナカイ観光牧場」敷地と青森県むつ市の原子力機構大湊施設を観測候補地として現地調査を行うことになりました。現地調査を経て決定される観測場所において、大気中の放射性キセノンを1~2年間観測する計画で、日本を含む東アジア地域における放射性キセノンバックグラウンド挙動の解明に資するデータの取得を通じて、同地域におけるCTBTOの核実験検知能力の強化に貢献していきます。

大気輸送モデルによるシミュレーション例

移動型希ガス観測装置

参考部門・拠点: 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター

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