独立行政法人日本原子力研究開発機構/倉敷繊維加工株式会社

平成26年3月27日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
倉敷繊維加工株式会社

被災地域の復興の推進に向けた給水器の開発
−福島県双葉郡川内村で実施したセシウム除去用給水器のモニター試験結果について−

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長:松浦祥次郎。以下「原子力機構」という。)と倉敷繊維加工株式会社(クラボウグループ、取締役社長:青山克己。以下「倉敷繊維加工」という。)は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故(以下「福島第一原発事故」という。)により被災した地域の飲み水の安心を確保し、早期の復興を推進するため、セシウムを選択的に吸着できる繊維状の捕集材を開発しました。(平成24年11月7日発表済)

今般、これを充填した家庭用給水器のモニター試験を、福島県双葉郡川内村の協力を得て1年間行い、十分なセシウム捕集性能があるという結果を得ることができました。

福島第一原発事故から3年が経過し、環境中のセシウムで水に溶けているものはほとんど検出されていません。しかしながら、台風や雪解けなどをきっかけに、土や落ち葉に付着したセシウムが突発的に水源に混入した場合でも、水を安心して使えるようにすることが、復興に向けた課題の一つとなっています。

そこで、原子力機構と倉敷繊維加工は、電子線グラフト重合1)の技術により共同開発したセシウム捕集材を活用し、セシウムを取り除くことができる家庭向けの給水器を製作しました。平成25年3月から、この給水器を井戸水や沢水を飲用水として利用する川内村の家庭の台所で1年間実際にご使用頂き、セシウムの除去効果を確認するモニター試験を行いました。その結果、セシウムが何らかの理由で自然界から混入した場合であっても、取り付けた給水器に水を通すことにより、セシウムが確実に取り除かれることを実証できました。

今後は、大規模な飲用水への適応に向けて、酪農業や既存の上水システムなどへの適応評価を進めていく予定です。

以上

参考部門・拠点:量子ビーム応用研究部門

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