用語説明

1) ブッシング
  電気機器のケースや建物の壁などに取り付けて、ケースや壁との絶縁を保ちつつ電気を導入する端子。コンデンサーブッシングは、導体に紙とアルミ箔やカーボン紙などを層状に巻き、絶縁油を含浸させてコンデンサーを形成し、コンデンサーが均一に電圧を分担することで電界の集中を回避して絶縁を強化した構造を持つ。
2) 絶縁変圧器
  変圧器の一次巻線と二次巻線間が絶縁されている変圧器。NB電源ではイオンを高電圧上で生成させて、接地電位に向けて加速することから、イオン生成用の電源はイオン加速の電圧分だけ接地電位よりも高電圧になっている。この高電圧を絶縁し、かつ高電圧機器に電力を給電するのが絶縁変圧器であり、NB電源には不可欠で重要な役割を果たす。
3) ITER(国際熱核融合実験炉)
  制御された核融合プラズマの維持と長時間燃焼によって核融合の科学的及び技術的実現性を実証することを目指したトカマク型(超高温プラズマの磁場閉じ込め方式の一つ)の核融合実験炉。1988年に日本・米国・欧州・ロシアが共同設計を開始し、2005年にフランスのカダラッシュに建設することが決定した。2007年に国際機関「ITER国際核融合エネルギー機構(ITER機構)」が発足し、日本、欧州連合、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7極が参加している。現在、ITERが格納される建屋の基礎工事を行っているところで、各極が調達する、ITERを構成する様々な機器の調達取決めが、順次締結されて製作が開始されている段階である。2020年からのプラズマ実験の開始を目指している。ITERでは、重水素と三重水素を燃料とする本格的な核融合による燃焼が行われ、核融合出力500MW、エネルギー増倍率10を目標としている。
  ITER計画に関するホームページ http://www.naka.jaea.go.jp/ITER?index.html (日本語)
  ITER機構のホームページ     http://www.iter.org/default.aspx (英語)
4) 中性粒子入射装置(Neutral Beam injector:NB)
  プラズマの加熱及び定常状態維持のための装置。イオンを生成し、静電的に加速して大出力のイオンビームを生成する。そのイオンビームを一定圧力で満たしたガスセルを通すことによりイオンの電荷を中和して電気的に中性な原子ビームとしてプラズマに入射する。中性化する理由は、核融合プラズマの閉じ込めには強い磁場が用いられているため電気を帯びたイオンビームは、磁場で反発されてプラズマに入射できないためである。
5) プラズマ
  核融合反応を起こすためには、燃料(重水素と三重水素)を1億度以上に加熱する必要があり、そのような超高温状態では、気体を構成する原子が完全に電離し、陽イオンと電子に別れて自由に運動する状態となる。このような状態をプラズマという。プラズマは、物質の三体、すなわち固体、液体、気体とは異なった、物質の第四の状態といわれる。
6) 臨界プラズマ試験装置JT-60
  日本原子力研究開発機構のトカマク型核融合装置。JT-60では、核融合炉の炉心プラズマの実現を目指して、超高温プラズマの発生やそれを定常的に維持する研究開発を行った。また。ITERの建設・運転に必要な炉心プラズマ技術の研究開発、原型炉に向けた研究開発、そして超高温プラズマの物理の解明に関する研究開発を行い、世界の核融合研究開発を牽引した。2008年に運転を終了し、現在、超伝導コイルを用いた装置(JT-60SA)に改造中。
7) JT-60用NB
  JT-60プラズマの加熱と定常維持のための中性粒子入射装置。負イオン源で水素(または重水素)負イオンを生成し、50万ボルトの電圧で加速して負イオンビームとし、その後中性化して電気を持たない中性粒子としてプラズマに打ち込む。

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