【研究協力の背景】

カザフスタン共和国では、クルチャトフ市に、発電および地域暖房を目的とし、将来的には水素製造をも視野に入れた、原子炉出力50MW(5万kW)規模の小型高温ガス炉を建設する、カザフスタン高温ガス炉(KHTR)計画を進めており、カザフスタン原子力発展プログラム(2011年6月に政府布告)において、高温ガス炉の建設とそれを用いた発電と地域暖房等が記載されている。

原子力機構では、送電網が発達していない原子力新興国の地方都市における分散型の電力供給と熱供給を念頭に置き、安全性に優れた小型高温ガス炉の概念検討を実施している。

【研究協力の内容】

カザフスタンにKHTRを建設するに当たっては、原子炉システムの基本設計を実施する必要があり、そのもとになる安全設計方針、安全評価方針、機器の規格・基準等の整備が必要である。

日本の高温ガス炉である高温工学試験研究炉(HTTR)の安全設計方針及び安全評価方針は、日本の発電用軽水型原子炉施設の方針等を参考にしながら、高温ガス炉特有の特徴を考慮したものとして整備、確立されている。これらを策定するにあたって得られた知見はカザフスタンにおける方針等の整備にも有益なものである。したがって、原子力機構は、カザフスタン原子力技術安全センターが進めるKHTRの方針等の策定活動や関連する規格・基準等の整備活動を適宜レビューし、HTTRの設置許可取得、設計及び工事の方法の変更に係る認可取得時等の活動を通して得られた知見に基づき助言を行っていく。これにより、KHTRの方針、規格・基準等を短期間で効率的に整備、確立できることが期待される。

本年6月、「高温ガス炉の安全研究協力に関する実施取決め」を調印(原子力機構の伊藤洋一理事とカザフスタン原子力技術安全センターのタジバエバ代表)

(参考)

カザフスタン共和国関係機関との協力状況


戻る