東京工業大学/トヨタ自動車株式会社/高エネルギー加速器研究機構/J-PARCセンター

東京工業大学
トヨタ自動車株式会社
高エネルギー加速器研究機構
J-PARCセンター

世界最高のリチウムイオン伝導率を示す超イオン伝導体の開発
−高安全性を有する全固体型リチウム電池の実用化に光−

【発表のポイント】

東京工業大学大学院総合理工学研究科・物質電子化学専攻の菅野了次教授、平山雅章講師、トヨタ自動車株式会社、高エネルギー加速器研究機構の研究グループは、このたび世界最高のリチウムイオン伝導率を示す超イオン伝導体(用語1)を発見しました。この超イオン伝導体(Li10GeP2S12)のリチウムイオン伝導率は室温(27℃)で12 mS cm-1を示し、従来のリチウムイオン伝導体Li3N(6 mS cm-1)の2倍の伝導率であるとともに、既存のリチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液(用語2)のイオン伝導率をも凌駕する値である。また、その結晶構造を大強度陽子加速器施設J-PARC(用語3)に設置された超高分解能粉末中性子回折装置SuperHRPDで解明し、三次元骨格構造中の超イオン伝導経路(用語4)を明らかにした。この発見は電気自動車やハイブリッド自動車、スマートグリッドの成否の鍵を握るデバイスとして熾烈な開発競争が繰り広げられている次世代の高エネルギー密度電池に、不燃性・高安全性を有する全固体セラミックス電池(用語5)が有力な候補であることを示し、蓄電池開発に新たな指針をもたらすものである。

本研究の成果は、英国の科学誌「Nature Materials」の2011年7月31日号(現地時間)に掲載される予定である。

以上

参考部門・拠点:J-PARCセンター

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