独立行政法人日本原子力研究開発機構
平成22年12月22日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

高温ガス炉の冷却能力の喪失時における安全性を実証する試験を開始
−第1回目の炉心流量喪失試験を終了−(お知らせ)

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 鈴木篤之。以下、「原子力機構」という。)は、12月21日(火)、高温ガス炉注1)である高温工学試験研究炉(HTTR) 注2)を用いて、炉出力約30%(9MW)において、全てのガス循環機を停止させることにより炉心における冷却材ヘリウムの流量をゼロとし、炉心の冷却能力を著しく低下させた場合の原子炉の安全性を実証する試験(以下、「炉心流量喪失試験」という。)を行いました。その結果、自然に原子炉出力が低下するとともに燃料温度の異常な上昇等も無く、安定な状態になることを確認し、第1回目の試験を計画通り終了しました。

高温ガス炉は、炉心には高温に耐える黒鉛を使用していることから、炉心の熱容量(熱を貯めこむ能力)が大きく、万一の事故に際しても炉心温度の変化が緩やかで、燃料破損(炉心溶融)に至らないという固有の安全性を有しています。

原子力機構は、高温ガス炉の優れた安全性を実証するため、試験計画に基づき、今回の試験よりも厳しい条件となる高出力での炉心流量喪失試験や、原子炉停止後の残留熱を除去するために原子炉圧力容器周りに設置される炉容器冷却設備を同時に停止させる試験(以下、「炉心冷却喪失試験」という。)を、段階的に行う予定です。なお、炉心冷却喪失試験は、世界で初めての試みとなります。

このような実機を用いた試験をとおして、高温ガス炉の優れた安全性を実証することで、冷却設備等の工学的安全施設注3)の合理化などを可能とさせ、実用高温ガス炉システムの経済性向上等に貢献します。また、世界的にもカザフスタン高温ガス炉計画注4)、米国次世代原子力プラント(NGNP)計画注5)などの設計を効率的にすすめることにも本成果は期待されています。

以上

参考部門・拠点:大洗研究開発センター

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