【研究開発の背景】

HTTRを用いて炉心流量がゼロとなる異常状態を再現し、高温ガス炉の優れた固有の安全性を定量的に実証するとともに、高温ガス炉の異常時の挙動を精度よく予測できる解析コードを高度化します。これによって、工学的安全施設の合理化を可能とする、日本初の高温ガス炉の安全設計方針を提案し、世界の高温ガス炉の国際標準を目指します。

【研究の内容】

実機を用いたデータの取得により、燃料温度、原子炉冷却材圧力バウンダリの温度・圧力、一般公衆への被ばく量が、安全上の許容値を満足することを示します。具体的には、補助冷却設備注6)、炉容器冷却設備といった能動的な工学的安全施設が無くても、自然対流や熱伝導といった受動的、間接的な冷却法のみで炉心冷却可能であることを証明します。最終的には、合理的な安全裕度に基づいた安全解析を可能とさせることにより、経済性が向上し、高温ガス炉の実用化に貢献します。

【これまでの実績と今後の予定】

高温ガス炉の基本性能を把握するため、炉心冷却材の流量を通常の3分の1まで低下させる試験(炉心流量低下試験)及び制御棒1対(2本)を一定量引抜き反応度注7)を投入する試験(制御棒引抜試験)を、文部科学省の革新的原子力システム技術開発公募事業として、平成14年度から18年度の5ヵ年計画で実施してきました。

今後は、高温ガス炉の冷却喪失時の安全性を実証することを目的とし、より厳しい条件となる炉心流量喪失試験、炉心冷却喪失試験を計画しています。

これまでの実績と今後の予定


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