独立行政法人日本原子力研究開発機構
平成22年10月4日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

世界に誇る高性能単色中性子標準照射場が完成(お知らせ)
−中性子利用のための技術的基盤が確立−

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長・鈴木篤之、以下「原子力機構」という)は、東海研究開発センター原子力科学研究所の放射線標準施設※1に、5桁にわたる広いエネルギー範囲(8keV※2から19MeV※2)で10エネルギー点の中性子を一つの施設で安定して供給できる、世界で唯一の単色中性子標準照射場※3を完成させました。

近年、中性子の利用は、原子力分野のみならず一般産業・医療分野にも拡大しており、広いエネルギー範囲で中性子の量を精度良く測定することが求められています。このためには、中性子測定器の感度(エネルギー特性※4)を正確に決めることができる照射場(単色中性子標準照射場)が不可欠です。このため、広いエネルギー範囲について一つの施設で系統的に中性子測定器の試験ができる照射場が求められていました。

照射場は、単一エネルギー(単色)中性子を照射する施設です。単色中性子は、加速器※5で加速した陽子または重陽子を中性子発生用ターゲットに入射させて発生させますが、これまでは数keVから数10keVまでの単色中性子を安定して発生させることはできませんでした。そこで、新しい技術を開発し、8 keV及び27keVの単色中性子を安定して供給できる照射場を世界で初めて開発しました。これにより、8、27、144、250、565 keV、1.2、2.5、5.0、14.8、19 MeVの合計10エネルギー点の単色中性子標準照射場が完成しました。

本照射場の完成により、中性子測定器に関する国内外の規格※6で要求される、全てのエネルギー範囲でのエネルギー特性試験を一つの施設で系統的に実施することが初めて可能となりました。開発した照射場は、原子力機構の施設供用制度※7などを通じて国内外で広く利用可能となっています。これによって、中性子利用のための重要な技術的基盤が確立しました。

以上

参考部門・拠点:東海研究開発センター 原子力科学研究所

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