用語説明

1)ブランケット
重水素(D)とトリチウム(T)の反応を用いた核融合炉では、重水素とトリチウムが燃料である。しかし、トリチウムは天然に存在しないため、人工的に作り出す必要がある。そこで、核融合反応が発生しているプラズマを包むような構造体にリチウム化合物を入れて設置し、核融合反応によって発生する中性子を利用して、リチウム原子を核反応によりトリチウムに転換することが考えられている。そのためのリチウム化合物及びそれを収納する構造体をトリチウム増殖ブランケットと呼ぶ。さらに、中性子の運動エネルギーを熱変換し、その熱を発電に利用するブランケットを発電ブランケットという。
2)高エネルギー中性子
ここでは、水素同位体である重水素とトリチウムによるDT核融合反応で生成する14メガ電子ボルト(MeV)のエネルギーを持った中性子を指す。DT中性子とも呼ばれる。
3)燃料
DT核融合反応を起こすための燃料。燃料は、重水素とトリチウムで構成される。重水素は、水などから比較的容易に取り出すことが可能である。トリチウムは、核融合反応によって発生する中性子とリチウムの反応を利用して作ることができる。
4)トリチウム
原子核が陽子1個と中性子2個からなる水素の放射性同位体。和名は三重水素。半減期12.3年で最大18.6keV、平均5.7keVのβ線を放出し、ヘリウム同位体に壊変。自然界では宇宙線と大気構成元素の核反応によって生成し、その評価量は年間160〜200g程度。リチウム同位体と中性子の核反応によりトリチウムを人工的に作ることができる。
5)ITER(国際熱核融合実験炉)
制御された核燃焼プラズマの維持と長時間燃焼によって核融合の科学的及び技術的実現性を実証することを目指したトカマク型(超高温プラズマの磁場閉じ込め方式の一つ)の核融合実験炉。1988年に日本・米国・欧州・ロシアが共同設計を開始し、2005年にフランスのカダラッシュに建設することが決まり、2007年に国際機関「ITER国際核融合エネルギー機構(ITER機構)」が発足して建設が開始された。
 ITER計画に関するホームページ http://www.naka.jaea.go.jp/ITER/index.html
 ITER機構のホームページ http://www.iter.org/default.aspx
6)ITER参加各極
現在ITER協定に参加している、日本、米国、ロシア、欧州、中国、韓国、インドの7か国のこと。
7)核融合中性子源施設FNS
核融合炉の開発に必要な核融合(DT)中性子に関する諸特性について実験的に検証するために建設された、現在世界最高の性能を有する加速器型のDT中性子源。これまでに、トリチウム生成率、核発熱、誘導放射能、遮蔽性能等の研究を進めてきた。核融合中性子工学での研究協力では主導的な役割を果たしているとともに、機能材料の照射効果、材料損傷の核的現象の実験、核計装用検出器の開発などへと研究分野を広げ新たな展開を図っている。
 FNS関連のホームページ http://www.naka.jaea.go.jp/etc/h20/gaiyou_fns.html

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