用語解説

1)照射燃料集合体試験施設
照射燃料集合体試験施設では、高速増殖炉燃料の開発のために、主に高速実験炉「常陽」で使用された燃料集合体や燃料要素の非破壊試験などを実施し、健全性などを確認している。本施設は1978年から操業を開始し、これまで200体を超える燃料集合体などの検査を実施し、高速増殖炉燃料の開発に必要なデータを取得している。

照射燃料集合体試験施設の外観

2)燃料ペレット、燃料要素、燃料集合体
燃料ペレット(直径約5mm)は核燃料物質を原子炉で使用するためペレット状に焼き固めたもの。 その燃料ペレットを被覆管と呼ばれる金属製のさや管に密封したものを燃料要素という。また、燃料集合体(外形約80mm)は、燃料要素を三角格子状に127本(「常陽」の場合)束ね、六角形状の外套管(ラッパ管)で覆っている。

燃料集合体及び燃料要素の概要

3)X線CT検査装置
X線CT検査装置は、X線を利用して物体を走査しコンピュータを用いて処理することで物体の内部画像を取得するものであり、特に医学の分野で発達してきた。照射燃料集合体試験施設では、このX線CT技術を原子炉で使用した燃料集合体の非破壊検査に適用するために、最大12MVの高エネルギーX線を導入するとともに、燃料集合体からの放射線の影響を低減するなどの革新的な技術を採用して高エネルギーX線CT検査装置を開発し、照射後試験に利用している。
4)検出器
X線源(X線発生装置)から発生したX線は、検査体を透過した後、検出器に入射してその量が定量化される。今回の開発にあたっては、厚みが約1mmと非常に薄く、密な配置が可能となる高性能Si系半導体検出器を採用した。
5)タングステン製コリメータ
タングステン製コリメータは、画像性能を確保するとともに、燃料集合体から放出される放射線を遮へいする役割を有し、検出器の前に設置されている。このコリメータには幅0.1mmのスリットが100本加工されており、このスリットにより検出器に入射する透過X 線を絞り込む。

検出器系の概要

6)燃料ペレット内のクラック、中心空孔
燃料ペレットを原子炉で使用すると、径方向の温度勾配に伴う熱膨張の差に起因して熱応力が発生するため、クラック(割れ)が生じる。また、ペレット内に存在する微小な空孔が中心部に集まって、中心空孔が形成される。

燃料ペレット内のクラック、中心空孔


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