用語説明

1) エマルショングラフト重合
放射線グラフト重合技術はプラスチック基材をガンマ線や電子線などの放射線を照射した後、試薬と反応させて、接ぎ木のように分子の枝を導入し、基材の特性を改良することができる。通常試薬は、水には不溶なため、アルコールなどの有機溶媒を使用して希釈し、放射線グラフト重合に用いる。有機溶媒の代わりに、石鹸の作用をもつ界面活性剤を用いて、試薬を水に分散させ、反応させることにより、グラフトの効率が著しく向上する。この有機溶媒を使用せず環境にも優しい手法がエマルショングラフト重合であり、グラフト重合の効率の向上で、グラフト重合に要する線量の低減化が可能となり、製造のコストダウンが可能となった。
2) 有機溶出成分
有機溶出成分は全有機炭素 (Total Organic Carbon:TOC)として評価され、水中の有機物を示します。
3)ポリエチレン
メチレン(-CH2-)のくり返しのみで構成されている最も単純な構造をもつ高分子であり、容器や包装用フィルムなど様々な用途に利用されている。一般に酸やアルカリに安定で、耐薬性に非常に優れる。
4) 不織布(ふしょくふ)
繊維を熱等の作用によって接着または絡み合わせることで布状にしたもので、大量生産ができ、安価である。厚みや空隙を簡単に変更でき、ランダムに結合されたものは、強度や伸びなどに方向性を持たない。
5)スルホン酸基
化学構造は -SO3H で、硫酸と同様に強酸性を示し、ナトリウムなどの陽イオンに対し、親和性が高い。この官能基を持つ物質は、様々な陽イオンを水中から取り除く能力を持つ。
6) 微量金属除去材料
金属イオンに対して強い結合力をもつ化学構造を持つ材料。金属が溶け込んだ水の中にこの材料を漬けると、金属イオンが結合し、除去することができる。ハウジング(下図参照)の中に充填し、処理する液を連続的に流して、金属を除去する。

ハウジング

7) kGy (キログレイ)
1 kGyは1,000 Gyに等しい。グレイ(記号: Gy)は、吸収線量の単位で、1キログラムの物質に1ジュールの放射エネルギーが吸収されたときの吸収線量を1グレイと定義する。
8) nm(ナノメートル)
10nmは1億分の1メートル。ウイルスの大きさに等しい。
9) ppb(ピー・ピー・ビィー)
10億分率を表わす濃度の単位で、parts per billionの意味を表す。10,000,000ppbが1%に相当する。10ppbは、1トンの水に、10mgのナトリウムが溶けているときの濃度。
10) 界面活性剤
水と油のように互いに混ざり合わない物質でも、界面活性剤を加えると白濁して均一になる。この白濁した液体をエマルションという。このことから界面活性剤は乳化剤と同義で用いられることもある。エマルションは不安定な状態であるため、時間が経過するといつかは二層分離する。界面活性剤は洗剤用途に大量に使用されているほか、食品や化粧品の乳化剤・保湿剤としても重要な位置を占める。
11) グラフト率
グラフト反応の収率を表す。グラフト重合後の重量増加を基材の重量を基準として百分率であらわす。グラフト率150%は基材の重量の1.5倍量の分子鎖が導入されていることを示す。

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