用語解説

1)原子力施設全体の振動シミュレーション

高度計算科学技術を用いてスーパーコンピュータ上に仮想振動台を構築し、原子力発電施設全体の地震時の応答をシミュレーションする技術の研究開発を進めています。シミュレーションの精度を高めるには、施設を構成している各部品の応答(応力、変位等)が接合状況により、どのように互いに影響しあうかを考慮する必要があります。原子力施設は膨大な数の部品から構成されているため、ひとつのスーパーコンピュータでは計算できないほどの処理量となり、従来技術では扱えないという問題がありました。そこで、部品と部品の接合状態を簡易的に考慮できる手法と、グリッドコンピューティング環境であるAEGIS(Atomic energy grid infra-structure)を用いて異なる複数のスーパーコンピュータを連携処理させて解析を高速化する手法とを提案し、原子力機構の大洗研究開発センターにある高温工学試験研究炉を対象に数値シミュレーションを実施しています。

シミュレーションの概要を図1に示します。データ入力から解析実行、および、解析結果の出力・可視化までを総合的に扱うシステムとして構成されます。本システムは、原子力施設全体規模の振動シミュレーションの技術課題である、大規模数値計算、相互作用計算、実環境計算、大規模データ処理を解決するためのフレームワークを提供します。本システムを高性能なスーパーコンピュータからなるグリッドコンピューティング環境において実装することにより、3次元実形状での詳細な耐震性評価が可能となります。

図1 原子力施設全体の振動シミュレーション


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