添付1
「2100年原子力ビジョン」
−低炭素社会への提言−
(概要)
【本ビジョンの目的】
- 北海道洞爺湖サミットの開催等を通じ、エネルギー環境問題に対する国民の関心が高まり、日常生活にも密接する問題だとの意識が浸透してきたこの時機を捉え、原子力の総合的な研究開発機関として、具体的で分かりやすい情報を提供し、多くの人々に将来社会におけるエネルギー需給のあり方を考え、議論してもらいたい。また、この問題に関し、人々が抱いている漠然とした不安や疑問を和らげたい。
【どのようなビジョンか】
- 2100年まで(石油需給逼迫の下、産業設備の更新、発電所の建設等大掛かりな取り組みを通じて、長期的に持続可能な姿に到達するためには100年以上かかる。2050年はまだ途中段階。)の日本のエネルギー需給シナリオを提示。
- 化石燃料への依存からの脱却、エネルギー安定供給の確保、二酸化炭素排出削減の達成のために必要な技術的オプションを、原子力機構が開発中の技術等を中心に検討し、それぞれの定量的な効果を推測。
【内容のポイント】
- 需要面では電化・水素化を進め、特に運輸分野の高効率化を促進。供給面では再生可能エネルギーや原子力を積極的に導入。
- 原子力は発電(軽水炉、高速増殖炉、核融合炉)に加え、自動車燃料や製鉄業の還元材として使用する水素の製造等の熱源としても利用(高温ガス炉)。
- 2100年の最終エネルギー消費量(民生、産業、及び運輸の3分野で最終的に消費されるエネルギーの総量)は現在の約60%。うち電力が約60%(現在約25%)、水素が約10%、化石燃料は約30%(同75%)。
- 同じく一次エネルギー供給量(最終エネルギー消費をまかなうため最初に投入するエネルギーの総量)のうち、再生可能エネルギーが約10%(現在約5%)、原子力が約60%(同約10%)、化石燃料は約30%(同約85%)。
- 2100年の二酸化炭素の排出量は現在の約10%(2050年では約50%)に低減。原子力機構に蓄積された成果や開発中の技術により、二酸化炭素の排出削減とエネルギー安定供給の両立−低炭素社会−は実現可能。
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