用語説明

1) 放射線グラフト重合
ビニール袋などに使われているポリエチレンなどのプラスチック素材に放射線を照射した後、試薬と反応させて、接ぎ木(グラフト)のように分子の枝を導入し、プラスチックの特性を改良する技術。
2) 導電性
電解質膜が電気を流す役割を持つ水素イオンを通す性能であり、イオン伝導性ともいいます。電解質膜の導電性は、一般的に膜厚方向の単位長さ(cm)あたりの抵抗値(オーム:Ω)の逆数(ジーメンス:S)で表されます。単位はS/cmです。
3) 膜強度
膜の機械的強度を表します。機械的強度は、一般的に膜を両端から引っ張り、その膜が切れる最大の強度に相当します。単位はパスカル(Pa)です。
4) 電解質膜
電解質は、電圧をかけると電流が流れる物質です。例えば、塩化ナトリウム水溶液の場合は電解質溶液、スルホン酸基のような酸性基を持つ樹脂の場合は電解質膜といいます。
5) 家庭用燃料電池
一般家庭において、燃料である都市ガス、プロパンガス、灯油を改質器に通すことで水素ガスを発生させ、家庭で電気と温水を同時に生成するシステムで、コジェネレーションシステムとも呼ばれています。発電の効率は40%以下ですが、排熱によりお湯を沸かすことができるため、70%以上のエネルギー効率が達成できるのが大きなメリットです。現在、政府の補助により一般家庭への普及が開始された状況で、2015年頃から本格普及に入ると予想されています。
6) 家庭用燃料電池に求められている作動条件
家庭用燃料電池の要求特性として、発電効率、耐久性、作動温度が挙げられます。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)等により、2015年ごろの本格普及に向けて発電効率37%、耐久性4万時間、作動温度80℃が達成目標として掲げられています。
本研究で開発した電解質膜は、求められている作動温度と耐久性はクリアしています。発電効率については、システム全体での数値のため、燃料電池セルとしての発電特性が0.65V(0.3mA)と、従来のフッ素系電解質膜よりも1.2倍高い値を示すことでその高い発電効率が確認されています。

戻る