用語解説

*1 凝縮系科学研究
幅広い様々な物質の持つ性質を調べる研究であり、身近に利用される便利な機能材料を生み出す母体となる研究分野のこと。
*2 先端的偏極中性子利用
磁石の性質をもつ中性子の磁石の方位を揃えたものを偏極中性子と言う。凝縮系科学において、磁石の性質をもつ磁性材料(磁気記憶材料のもととなる)の研究に先端的偏極中性子の利用は不可欠な要素である。
*3 定常炉とパルス中性子源における偏極中性子発生技術や利用技術の開発
中性子を定常的に放出する原子炉(定常炉)でも、パルス状に中性子を放出するパルス中性子源でも、放出される中性子の磁石の方位はまちまちである。これを揃える技術(偏極中性子発生技術)と、偏極中性子の利用技術は、より高度な磁性材料の開発研究を目指し現在も開発が進んでいる。
*4 偏極中性子利用手法の研究
偏極中性子の利用は磁性材料の磁石の性質を調べるのみならず、中性子利用実験に幅広く応用できるが、その手法の研究開発は近年一層活発化している。
*5 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)
J-PARCに設置されている加速器からのパルス陽子ビーム(3GeV, 25Hz, 333μA)により世界最高強度のミュオン及び中性子ビームを発生させ、これらを用いて、物質科学/生命科学研究を推進させることを目的とする中性子実験施設。平成20年5月30日に、記念すべき最初の陽子ビームを受入れ、中性子の発生に成功し、今後、初めてのミュオンビームの取り出し(9月予定)、利用実験への供用開始(12月から)を予定している。
*6 研究用原子炉(JRR-3)の中性子散乱施設
JRR-3は昭和37年に、わが国初の国産研究炉として臨界に達した後、原子力の黎明期を支える多くの研究に活用された。その後、性能向上を目指した改造を行い、平成2年、出力20MWの高性能汎用研究炉として利用運転を再開した。JRR−3に設置された中性子散乱施設では、種々の中性子ビーム実験が行われ、冷中性子(エネルギーの低い中性子)が利用できることから、高分子の構造解析による生命現象の解明などにも役立てられている。

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