補足説明

現在までの経過と原因等について

1.JRR-4及び反射体要素の概要

JRR-4は、熱出力3,500kWの研究用原子炉で、医療照射(BNCT)、原子炉技術者養成等に利用されています(添付図1参照)。炉心は、水深約10mの原子炉プールの底に設置されており、反射体要素36体に取り囲まれた燃料要素20体から構成されています。反射体要素は、吊り手部、胴部、プラグ部から構成され、胴部に黒鉛反射材を封入しています。

2.現在までの経過

平成20年3月28日の週報にてお知らせしましたように、平成19年12月28日に、反射体要素1体の溶接部に割れを発見しました。割れが発生した反射体要素の場所と、水中カメラで確認した割れの様子を添付図1に示します。

他の割れていない全ての反射体要素の点検を実施したところ、11体に窪み等を確認したことから、胴部のアルミニウム被覆に貫通がないことを確認するために発泡漏れ試験5)を行った結果、貫通はなく健全であることを確認しました。

割れた反射体要素について、破面の顕微鏡観察、黒鉛反射材の寸法検査を行いました。これらの結果から、反射体要素割れの原因は黒鉛反射材の膨張であることを確認し、割れの発生メカニズムを添付図2のように考えました。割れた反射体要素内の上部には製作時に約4mmのギャップを設けましたが、黒鉛反射材が約7mm膨張して吊り手部を押し上げ、溶接部に割れが生じたと考えます。

他の割れていない反射体要素33体については、放射線透過試験を実施しました。黒鉛の膨張を確認した放射線透過写真の例を添付図2に示します。黒鉛の膨張により、15体についてギャップがありませんでした。このため、反射体要素の製作と交換が必要と判断し、平成21年6月末まで、さらに運転を停止することとしました。

3.原子炉施設への影響

現在、原子炉施設は停止しています。原子炉の冷却機能、閉じ込め機能に異常はなく、原子炉の安全性は確保されています。

4.環境への影響

周辺公衆及び従事者への放射性物質による影響はありません。


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