(用語解説)

1)大強度陽子加速器施設(J-PARC)
日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で茨城県東海村に建設中の陽子加速器施設と利用施設群の総称で、光速近くまで加速した高エネルギー陽子により生み出される大強度量子ビーム(中性子、パイ中間子、K中間子、ミュオン、ニュートリノなど)を基礎研究や産業利用に供する施設。
2)極低温水素循環システム(→補足資料-1[PDF、232kバイト]
J-PARCの核破砕中性子源において、-253℃(20K)、15気圧(1.5MPa)の超臨界水素を生成し、中性子源中心まで循環させて、モデレータに極低温水素を供給するシステム。モデレータ内では、この水素により中性子が実験に適した温度にまで冷やされる。モデレータ内の水素は核反応に伴う発熱により約3.8kWの熱負荷を受けるが、約8 m3/hの大流量・超臨界圧状態の極低温水素を供給することにより、水素の密度変化がほとんどなく、熱負荷に伴う温度上昇を3度以内に抑えることにより、安定した大強度の低エネルギー中性子ビームを供給することができる。
3)核破砕反応
約1億電子ボルト以上の高エネルギーに加速された陽子を水銀、鉛ビスマス、鉛、タングステン、タンタル、ウラン等の標的に入射することにより、標的の原子核がバラバラになり、陽子及び中性子などの多数の2次粒子を放出する反応を指す。
4)核破砕中性子源
加速器で生成した高エネルギーの陽子ビームが原子核に入射すると、原子核がバラバラになり、多量の中性子などが放出される(この核反応を核破砕反応と言う)。核破砕中性子源で生じる核破砕反応により生成した高エネルギー中性子(温度換算で数百億℃)を-250℃程度の実験に適した温度にまで冷やし、多様な中性子実験装置に冷中性子ビームとして供給する。実験装置では冷中性子ビームを利用した様々な実験が行なわれ、ライフサイエンス、工学、情報・電子、医療など、広範な分野の研究展開が期待されている。
5)極低温水素循環ポンプ
世界で初めて水素ガス中で動作する動圧式ガス軸受けを採用した遠心式ポンプ(ターボポンプ)。小型だが高回転(最大6万回転毎分)で動作するので、大流量を発生できる。本ポンプは、原子力機構が核融合開発で築いた超臨界ヘリウム循環ポンプのデータベースを利用して設計・製作された。
6)国内最大級の設備が完成
補足資料-2参照[PDF、208kバイト]

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