平成20年2月21日
J-PARCセンター
 
J-PARCセンターとポール・シェラー研究所(スイス)における「核破砕材料技術開発」の研究協力覚書の締結
 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 岡撫r雄 以下「原子力機構」)及び大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(機構長 鈴木厚人 以下「高エネ機構」)の共同運営組織であるJ-PARCセンター(センター長 永宮正治)と、ポール・シェラー研究所(スイス)は、「核破砕材料技術開発の分野における研究協力覚書」を平成20年2月18日に締結しました。

●概 要
 原子力機構と高エネ機構は共同で、現在茨城県東海村にJ-PARC(大強度陽子加速器施設)の建設を進めています。J-PARCは光速近くまで加速された高エネルギー陽子により生み出される大強度量子ビーム1)を基礎研究や産業利用に供する施設です。
 量子ビームは、陽子を金属などの標的材料に衝突させて標的の原子核を破砕(核破砕)2)させることで発生します。この際、標的材料が陽子との衝突により受ける損傷は、機器の寿命を左右するため、その損傷を正確に評価することが重要です。
 J-PARCセンターでは、スイスのポール・シェラー研究所(PSI)の核破砕中性子源施設における陽子ビームを利用して、この材料損傷評価技術の研究を進めていますが、この度、互いの技術を利用してさらにこの研究を進展させることで合意し、覚書を締結しました。
 具体的な協力としては、原子力機構と(株)米倉製作所が共同で開発した微小試験片専用の試験機3)をJ-PARCからPSIに持ち込み、共同で試験を実施する予定です。PSIが保管する多くの照射済み試料の試験が進むことにより、核破砕反応を利用する装置で課題となる材料の耐久性の評価が可能となります。また、PSIの専用施設でナノ組織の観察を行って新たな知見を得るなど、照射試料の輸送を省いて経費の節減を図り、効率的に核破砕材料の評価技術を確立することを目指します。得られるデータは、J-PARC施設の高出力化に伴う材料寿命を評価するための基礎データとなる他、放射性廃棄物処理・処分の負担軽減に貢献することを目指した技術4)の基礎研究にも利用が可能となります。
 本覚書締結後は、両国の研究者の力を結集して共通の研究課題の解決にあたるとともに両国の機関が有する特徴ある施設・設備を相補的に活用することにより、効率的な研究開発が期待されます。

 (用語解説
以 上

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