補足資料2
 


 従来の電磁ポンプは、直線状の流路周りにコイルを設置し、コイルに電流を流すことにより、流路に直交した磁界を、流路方向に進行させた際に発生する電磁力によって、流体を駆動させる。駆動力は、電磁力作用長さに比例するため、大きな駆動力を得るためには、ポンプの長さが長くなってしまう。
 永久磁石回転式電磁ポンプは、円筒状のマグネットローターと呼ばれる機器の周囲に水銀流路を設置する。マグネットローターの表面には、永久磁石のN極とS極を交互に配置し、モーターによりマグネットローターを回転させ、そのときに電磁誘導によって発生する電流と回転移動する磁場による電磁力によって水銀を流動させる。
 本ポンプでは、世界最高性能の実用永久磁石(磁束密度:0.65T、キューリー点:200℃)を用いて、最高性能の永久磁石回転式電磁ポンプの開発を目指した。一方、電磁ポンプでは、電磁力の損失により発熱するが、水銀循環設備の熱交換器の容量と、ターゲットでの発熱を考慮すると、ポンプでの発熱を100kW以下に抑える必要があるため、モーターの出力を90kWとした。また、水銀流路ダクトの必要な箇所に補強を加えた薄肉構造のΩ型として、十分な構造強度を有し、発熱による損失を抑制して十分なポンプ特性を得る構造とした。(特許出願中)。
 その結果、水銀ターゲットの冷却に十分な流量の水銀を連続的に安定して供給することができた。また、電磁ポンプは、水銀流路との摺動部分が無いため、運転時の騒音、及び水銀流路の振動を極めて低くすることができた。

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