平成19年8月2日
国立大学法人広島大学
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
イオンビームを用いて高い環境浄化能を持つ植物品種の育成に初めて成功
 
 国立大学法人広島大学(学長 浅原利正、以下「広島大学」)と独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 岡撫r雄、以下「原子力機構」)は、イオンビーム育種*(1,2)技術を用いることによって、高い二酸化窒素(NO2*3浄化能を持つヒメイタビ*4の作出に成功し、品種登録出願しました。これは広島大学大学院理学研究科高橋美佐助教、森川弘道名誉教授ならびに原子力機構量子ビーム応用研究部門量子ビーム遺伝子資源研究グループの長谷純宏研究員、田中淳バイオ応用技術研究ユニット長らによる研究成果です。

 自動車の排気ガス等に含まれる二酸化窒素は、特に都市部における主要大気汚染源となっています。大気汚染物質を浄化する試みとして、高速道路の壁面や工場周辺などの環境緑化が期待されています。広島大学と原子力機構は、壁面緑化に適したつる性植物であるヒメイタビに対し、原子力機構高崎量子応用研究所イオン照射研究施設TIARAのイオンビームを照射し、二酸化窒素浄化能が向上した突然変異株の作出に取り組んできました。その結果、大気中の二酸化窒素の取り込みと植物体内での代謝が上昇し、親植物に比べて二酸化窒素浄化能が40〜80%向上した株の作出に成功しました。その後、栽培を続けて浄化能が安定していることを確認し、新品種「KNOX」(仮称)として、農林水産省に品種登録出願しました。

 本成果は、世界で初めて突然変異によって実用植物における環境浄化能を高めることに成功したものであり、KNOX株は、壁面緑化に利用することで大気汚染浄化の即戦力になると期待されます。本成果は、平成19年8月7日から開催される第25回日本植物細胞分子生物学会において発表する予定です。


 ・イオンビームを用いて高い環境浄化能を持つ植物品種の育成に初めて成功
 ・補足説明資料1
 ・用語説明
以 上

参考部門・拠点:量子ビーム応用研究部門


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