添付資料1

グローバル原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)構想に対する技術提案募集への関心表明(EOI)について

平成18年9月8日
日本原子力研究開発機構


 米国エネルギー省(DOE)は本年2月、米国内での原子力発電の拡大や放射性廃棄物量の低減、核不拡散の徹底等を目指した包括的構想であるグローバル原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)(注1)を発表したが、さらに8月3日、GNEP計画の加速を目的とした2トラック方式(注2)の採用を発表し、併せて、産業界が保有している既存技術の活用による施設開発の早期立ち上げを目指して国内・外からの提案を募るためのEOI(Expressions of Interest)を募集した。対象は統合核燃料取扱センター(CFTC:Consolidated Fuel Treatment Center)と先進燃焼炉(ABR: Advanced Burner Reactor)の2施設である。要求の概略は以下の通り。
   CFTC : 短期計画であるトラック1では、再処理の規模として、数100t/年を想定。軽水炉使用済燃料を再処理し、ABR用ドライバー燃料(当面はマイナーアクチニド(MA)核種を含有しない燃料)を製造する。長期計画であるトラック2では、軽水炉使用済燃料に加えて高速炉使用済燃料も再処理し、MA含有燃料を製造し、ABRで燃焼する。これらの再処理においては純粋なプルトニウムを存在させないことが要件。
   ABR : 高速中性子スペクトルの炉心であり、出力規模としては熱出力500〜2000MW、電気出力200〜800MWの発電炉を想定。初期は通常のU/Pu燃料炉心で、将来的に核変換燃料(MA含有燃料)に置き換えられるようにする。炉型としてナトリウム冷却高速炉が例示されている。

 このような技術提案の募集に対して、原子力機構と関連メーカなどは連名で、実験炉「常陽」、原型炉「もんじゅ」、実用化戦略調査研究(FS)やこれまでの実証炉設計研究、また東海再処理工場や六ヶ所再処理工場等などで培った技術を基に、下記を提案することとした。
   CFTC : Near-term Track (トラック1)と Long-term Track(トラック2)に分けて提案する。Near-term Trackについては、DOEがCFTCの運転開始を2020年に計画していることから実績のある技術の改良・高度化を中心としたシステムを提案する。またLong-term Trackに関しては、当方として2030年〜2040年頃の運転開始を想定し、FSで検討してきた革新技術を取り込んだシステムを提案する。
   ABR : DOEが運転開始を2020年頃に期待していることから、我々が2025年に計画している実証炉に取り込む予定の革新技術の一部を既存技術に置き換えた設計(注3)を基軸として提案する。

以 上



注1)GNEP(Global Nuclear Energy Partnership)
 ブッシュ大統領の先進エネルギー・イニシアティヴの一環として、本年2月6日、米国エネルギー省はグローバル原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)を発表した。この計画は、核燃料のリサイクルや廃棄物最小化のための新技術を実証・整備し、原子力技術の核拡散抵抗性を高めることで、温暖化ガス放出のない原子力を全世界に拡大しようとする包括的な戦略である。 GNEPの戦略は以下の7つの要素を含んでいる。
   1. 米国内に新世代の原子力発電所を建設すること
   2. 新たな核燃料リサイクル技術を開発し、整備すること
   3. 米国内の使用済み核燃料を効率的に管理し、最終的には国内にて貯蔵するよう努めること
   4. 再生された核燃料からエネルギーを生産する先進燃焼炉(ABR)を開発すること
   5. 核拡散のリスクを最小化しつつ、開発途上国が経済的に原子力を獲得・利用できるような燃料供給サービス計画を確立すること
   6. 開発途上国のニーズに応えるような小規模な原子炉を開発・建設すること
   7. 拡大された原子力発電所の核拡散抵抗性及び安全性を強化するための保障措置を改良すること


注2)2トラック方式
 トラック1=短期計画:軽水炉燃料の再処理により一体で抽出されるウランとプルトニウムを高速炉で燃焼する。既存の技術を多用して短期の立ち上げを目指す。
 トラック2=長期計画:軽水炉燃料の再処理に際してマイナーアクチニドもウラン、プルトニウムと共に抽出して高速炉で燃焼する。高速炉の燃料も再処理して、高速炉へリサイクルする。これらの技術を開発するには長期の研究開発が必要。
 これら2つの短期、長期計画を併用して、短期間で軽水炉燃料の再処理を立ち上げることによって廃棄物量の低減を具体化するとともに、最終目的であるマイナーアクチニドの燃焼、閉サイクルへの発展性も確保する。


注3)革新技術の一部を既存技術に置き換えた設計
 二重管直管蒸気発生器を単管ヘリカル型あるいは単管直管蒸気発生器に置換したり、ポンプ内蔵型中間熱交換器を各々別個に分離配置するなど、採用を目指している革新技術を既存の技術に置き換えた設計。












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