用語解説 |
|
1. | トリチウム:水素の同位体であり、陽子1個でできている通常の水素に対し、陽子1個と中性子2個で作られている。弱いベータ線を出し、ヘリウムに変換する放射性同位元素であり、その半減期は約12年である。 |
2. | 核融合施設利用研究:日本原子力機構の核融合関連施設を用いて、大学等と進めている共同研究であり、トリチウムに関しては、後述のトリチウム安全性試験装置を用いて共同研究を行っている。 |
3. | トリチウム除去装置:万一建屋内に漏れたトリチウムを、除去回収することで環境への漏洩を防ぐ装置。高温の貴金属触媒によりトリチウムを酸化し、水分として吸着することで除去・回収する方法が従来とられてきた。 |
4. | 閉じ込め:トリチウムを内蔵する気密な容器や室内の圧力を廻りよりも低く保つことで、トリチウムが外に漏洩しないようにすること。 |
5. | ITER等核融合炉:ITERとは国際熱核融合実験炉(International Thermonuclear Experimental Reactor)の略であり、トリチウムと重水素という実際の燃料を用いて、大出力長時間の燃焼(核融合反応)をおこさせることを目標としている。仏カダラッシュに建設が決定した。核融合とは、軽い原子核どうしが融合し重い原子核になると同時にエネルギーを出す反応。例えば、重水素(陽子1個と中性子1個でできている安定水素同位体)とトリチウムが融合してヘリウムと中性子となり、17.6MeVのエネルギーを出す反応など。(MeV = 106 eV) |
6. | 貴金属触媒:セラミックであるアルミナに、白金、パラジウム等貴金属をコーティンングしたものであり、水素と酸素等をこの物質に通すと、酸化して水になる。触媒自体は変化しない。高温にすると酸化性能が向上する。 |
7. | トリチウム安全性試験装置:日本原子力研究開発機構・原子力科学研究所(トリチウムプロセス研究棟内)に設置されている実験装置であり、容積12 m3のステンレス製気密容器を中心とする装置である。最大37 GBq(約0.1 mg)のトリチウムを気密容器内に安全に放出し、容易にトリチウム汚染環境を模擬することができる国内唯一の装置である。 |
8. | コストと廃棄物:従来のトリチウム除去技術は、高温の貴金属触媒、事前にガス温度を上げる予熱器、触媒を出たあとのガス温度を下げる冷却器が必要であるのに対し、常温で運転できるバイオトリチウム除去装置は、少なくとも設備・運転コストが1/10になると予想される。また触媒と異なり灰化処理できるため、廃棄物の大幅減容が期待できる。 |
9. | 放線菌:環境微生物の1種であり、放射状の構造を持つ菌類(地衣類の親戚)。 |
10. | ヒドロゲナーゼ活性:微生物が水素を酸化して水に変える能力 |
11. | Kitasatospora属とStreptomyces属:どちらも放線菌の一種。DNA分析等で判別する。 |
12. | SEM:走査型電子顕微鏡 |
13. | バイオトリチウム除去装置:微生物を中のフィルターに固定し、そのヒドロゲナーゼ活性を利用して水素(トリチウム)の酸化反応をおこさせる容器。 |
14. | 多段:バイオトリチウム除去装置を直列に連結することで、トリチウムの除去量を増加させること。 |
15. | 電離箱:トリチウムの出すベータ線(電子線)を計測する分析器(微小電流測定器)であり、それによりトリチウム濃度を測定する。 |
16. | 除去効率:バイオトリチウム除去装置の入り口と出口のトリチウム濃度の比。入ってきたトリチウム(水素の形)のうち、バイオトリチウム除去装置により、水に変換された割合を示す。 |
17. | 循環処理:トリチウム除去装置に送られてきたトリチウムを含むガスを、そのまま環境に排出するのではなく、建屋内に再び戻す処理を行うこと。建屋内のガスは除去装置を介して循環されることとなり、確実に建屋内トリチウム濃度を低減させることができる。 |
18. | グローブボックス:トリチウムを扱う装置を納めるアクリル製の箱、ゴム製のグローブが取り付けられ、そこに手を入れて装置の操作をするため、この名前がある。 |
もどる |