【用語】
 
1. 紫外線とDNA損傷
 紫外線は、280nmから400nmの波長の光ですが、地上には290nm以上の紫外線が到達しています。紫外線のエネルギーはDNAに吸収されやすく、ピリミジン塩基(DNAの4つの塩基A,G, C,TのうちCとT)の2量体等が形成され、DNA損傷が引き起こされます。近年、オゾンホールの拡大が観測されていますが、成層圏が薄くなったり、なくなったりすれば、宇宙からの紫外線が増大するばかりでなく、紫外線のなかでもより危険な290nm付近の短波長紫外線が急激に増大すると考えられています。
 
2. イオンビーム
 原子から電子を剥ぎ取った原子核(イオン)を加速器を用いて高速に加速したものです。植物の種子や培養体に照射することにより、細胞核に存在する遺伝子DNAに作用し、突然変異を起こす働きがあります。
 
3. TIARA
 TIARA(Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application)は、イオンビームの持つ特徴を利用して、材料科学・バイオ技術などの先端科学技術の研究に利用することを目的として、高崎量子応用研究所に設置されているイオン照射研究施設です。バイオ技術分野では、世界に先駆けて、イオンビームを用いてカーネーションやキクの新品種等の創成に成功しています。
 
4. シロイヌナズナ
 アブラナ科に属する双子葉植物で、生長が早く、遺伝子や突然変異体が多く取られており、植物の研究材料として最もよく使われています。2000年12月に植物で初めてゲノム解析が終了しました。
 
5. 核内倍加
 通常の細胞分裂では、核のDNAが複製されて2倍になった後に細胞分裂によって2分割されることを繰り返し、核のDNA量が一定に保たれています。核内倍加とは、細胞分裂を伴わずにDNAの複製だけが起きる現象であり、DNAの複製の回数に対応して、核のDNA量が2倍、4倍、8倍・・・と増加します。核内倍加は多くの植物種の葉や茎で起きていることが確認されています。

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