用語説明
 
1. 放射性同位元素
 放射線を出す能力を持った元素のことを言います。放射性同位元素は崩壊してより安定な状態の原子に変わるときに放射線を出します。放射性同位元素の例としては、キューリー夫人が発見したアルファ線を出して崩壊する226Ra(ラジウム)や、年代測定で利用されベータ線を出して崩壊する14C(炭素)などがあります。
 
2. ポジトロン放出核種
 放射性同位元素の一種で、原子の崩壊に伴ってポジトロン(陽電子とも言う:電子と同じ質量で正の電荷をもっている素粒子)を放出するものです。ポジトロンは、周囲に存在する電子とともに消滅し、それぞれの粒子の質量に相当するエネルギー(511 keV)を持つ消滅ガンマ線となります。消滅ガンマ線は同時に発生し、互いに180°反対方向へ飛ぶ性質があります。
 
3. 植物ポジトロンイメージング技術
 ポジトロン放出核種の崩壊に伴い発生する消滅ガンマ線を計測し、ポジトロン放出核種の分布を画像化する技術で、植物を対象とした計測のために機能を特化し、高い解像度と検出感度を実現しています。同じ計測の原理を持つPET(positron emission tomography、ポジトロン断層診断)はがんの診断に使われています。
 
4. 食品衛生法によるカドミウム濃度基準
 食品衛生法では、コメに含まれるカドミウムが1ppm未満であることが定められています。0.4 ppmを超えるカドミウムが検出されたコメについては、流通されないようになっています。現在、FAO/WHOによるコーデックス委員会では、食品中のカドミウム濃度に関する国際基準を作成しており、0.4 ppm以下の基準値が検討されています。
 
5. カドミウム吸収低減技術
 作物によるカドミウムの吸収量は、土壌の状態、肥料の投入、水の管理などにより増減します。そこで、栽培時にこれらを積極的に管理・改良することで、作物によるカドミウム吸収の抑制を図る技術のことです。現在実用化されているものには、収穫直前の水田の水管理を厳密に行うことで、カドミウムの吸収を低減させる方法などがあります。

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