「施設共用」制度の概要
 
1)施設利用の現状
 原子力機構における施設利用は、現在のところ、旧2法人の運用実態を継承して、原子力機構と大学や民間との研究協力によるものと専ら外部のニーズに基づく利用を有償で受け入れる施設共用によるものとの二本立てで行われている。
 研究協力による施設利用は、共同研究、受託研究等に伴って、施設・設備の利用が発生するものであり、これらの研究協力の必要性の判断自体は、施設を利用して研究開発を行っている研究部門によってなされている。一方、施設共用による施設利用は、共用の体制が整っている予め選定された施設(共用施設)を、各々の施設の利用計画の調整の上で、随時、「共用施設利用約款」の条件に従って外部利用に供するものである。


2)外部利用の実績
 (1) 研究協力による施設利用
 過去3年間、主な施設を利用した公募による協力研究、共同研究の契約件数は、表1のとおりである。
 (2) 施設共用による施設利用
 過去3年間、共用施設13施設の利用件数及び収入は、表2のとおりである。


3)新制度の整備
 今後さらに外部利用の増進を図るため、平成18年度の運用開始を目標に、現在、新しい施設共用制度の整備を進めている。そこでは、研究協力による施設の外部利用は、原子力機構の自己使用として位置付ける一方、原子力機構の業務目的に縛られない外部利用の形態である施設共用を制度的に大幅に改革し、原子力機構が保有する大型施設等を可能な限り外部者の利用に開放することとした。
 具体的には、平成18年度から年2回、定期的に利用課題募集を実施するとともに、利用料金についても研究成果を公開する場合には大幅な減額措置を適用することとした。これにより、パンフレット等による施設・設備に関する積極的な広報活動と併せ、需要の掘り出しと利用機会の拡大が図られることを期待している。
 特に、民間企業による利用に対しては、世界最高水準の科学技術創造立国の実現を目指す我が国の国策を踏まえ、原子力機構研究者が直接利用者を支援するなど十分な利用者支援体制の整備を図るとともに、商業秘密の保持に対する要望に応えるため、十分な情報管理を行います。さらに、利用時間の配分等についても柔軟な運用に努め、産業利用の拡大を目指すこととした。
 利用対象の拡大については、平成18年度から共用施設をこれまでの12施設に新たに4施設(光量子科学研究施設、放射光科学研究施設、タンデム加速器、タンデトロン施設)を加える計画である。
 そのほか、利用課題の選定や利用時間の配分に際しては、外部利用者が内部利用者より不利な立場に置かれないように、また、産業利用が不利な取扱いを受けぬよう配慮することが重要であると認識している。また、施設共用に関する基本的な運営方針等の審議・検討や利用課題の選定などについて、外部の専門家等を含む施設利用協議会を設置し、施設の外部利用における透明性、公平性に十分配慮する。






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