原子力機構の価値 ~原子力の社会実装に向けて~

日刊工業新聞にて毎週火曜日連載中

153 研究用原子炉の廃止措置

掲載日:2026年1月20日

大洗原子力工学研究所 環境技術開発部 環境技術課
 渡邊 麻衣

原子力機構に入構後、DCAに配属。廃止措置や施設の保守管理などに従事。現在はクリアランスに関する業務にも携わっている。現在の業務や成果を通して、DCAの廃止措置に関する知見を社会に広く提供すると同時に、クリアランス物など資源を活用したサステナブルな社会実現に向けて貢献したい。

廃棄物を大幅減、再利用

4段階の計画

日本原子力研究開発機構は研究開発の目的に応じた原子炉を運用してきた。その中には役割を終えて廃止措置となった炉も多い。今回は、廃止措置中の重水臨界実験装置(DCA)での取り組みと成果を幾つか紹介したい。

DCAは1969年の初臨界以降、新型転換炉「ふげん」を模擬した炉心体系の核特性を調べる臨界試験などを行い、そのデータは「ふげん」の炉心設計や安全設計に活かされた。そしてその役目を終え、2001年DCAの運転を終了した。

原子力施設の廃止措置には、解体後の廃棄物の区分け、汚染可能性のある箇所への適切な対処や施設保守など、多くの課題がある。対応のため、施設構造や運転時の来歴などから、解体方法や除染順序を組む。

DCAは廃止措置完了まで計画を4段階に分け、第1段階で原子炉機能を停止させた。具体的には、燃料を再挿入できないように封印し、起動用機器を撤去するなどで再運転自体を不可能にした。

多様な解体工法

第2段階の大きな節目は減速材・重水の搬出だ。重水は資源価値が高く、国際的にも需要がある一方、国際規制物資だ。信頼できる相手として原子力協定を結ぶカナダを選び、払い出しを完遂した。

08年から第3段階に入り、原子炉本体などの解体に着手。原子炉や付随機器は形状や材質は多様で、それに応じた解体工法が必要になった。例えば、炉心タンクのような金属製円筒形の設備は、単純に切断すると反りかえって切断工具の刃が食い込むなど影響が生じる。これには切断部を固定する食い込み回避策で対応。こうして、主要設備の解体は完了し、現在は汚染がほとんどない機器を解体している。

水平展開視野に

そして、34年から始まる第4段階の原子炉建屋解体を見据えた準備も進めている。その一つが、汚染レベルは非常に低く、放射性物質とする必要がない廃棄物「クリアランス物」の放射能濃度の検認・評価方法の検討だ。これが確立すれば、DCAの放射性廃棄物約2300㌧中約2200㌧がクリアランス物となり、放射性廃棄物の大幅な低減が期待できる。

クリアランス物の一部は資材に再利用でき、金属は照明灯やベンチなどに、コンクリートなら路盤材などに姿を変え、社会に還元できる可能性も秘めている。

一連の知見やノウハウは、国内の原子力施設の廃止措置にも役立つ見込みもある。社会に成果を還元できるよう、今後もDCAでの廃止措置に尽力していきたい。