138 SFR実証炉の渦流れ予測
掲載日:2025年9月23日
設計効率化、安全性高める
高い発電効率
次世代革新炉の一つ、ナトリウム冷却高速炉(SFR)実証炉の開発が官民連携のもとで進められている。冷却材に熱伝導率が大きく高沸点の液体金属ナトリウム(Na)を採用することで、高温運転が可能となり、効率的な熱利用による高い発電効率を実現できる原子炉だ。
日本原子力研究開発機構では、Na冷却材の流れに生じる渦流れを予測する評価ツールを開発。SFR実証炉の設計検討の効率化と安全性向上に資する評価技術として提供している。
ガス巻き込み現象
SFR炉心出口の上方には、冷却材Naで満たされた空間(炉上部プレナム)がある。さらにその上の空間は、Naが空気に触れて反応しないよう、不活性ガスのアルゴンガスが満たされている。
運転中、炉上部プレナム内に配置された構造物の背後に強い渦流れが発生し、Na液面からアルゴンガスを液中へ巻き込む「ガス巻込み現象」が起きることがある。Na中に入ったアルゴンガスが気泡となって炉心を通過すると、炉心出力のじょう乱を招き、安全上の課題となる可能性がある。このため、ガス巻込み現象の評価手法の構築は、SFRの安全設計におけるカギとなる。
現象の評価には、実寸規模での模擬実験や詳細な3次元数値解析(CFD解析)を行い、液面の様子を確認することが考えられる。しかし、実験や解析の実施コストは膨大となるため、設計検討段階に実施するのは難しいとの課題があった。
そこで我々は、液面での渦の発生を予測してガス巻込み現象を評価するツール「StreamViewer(SV)」を開発した。目指したのは合理的な評価コストを実現し、設計検討時への適用だ。
圧力分布を計算
この手法では、まず、炉上部プレナムのみを対象に、比較的粗い解析メッシュを用いてCFD解析を行い、Naの流れの様子を計算する。SVでは、この流れの情報(速度分布)を用いて液面から伸びる渦の3次元構造を探し出し、渦中心に沿った圧力分布を計算。ここで圧力の値が基準値(静水圧)を超えた場合、「ガス巻込み現象」発生と判定する仕組みだ。
現在、原子力機構は高速炉メーカーが行うSFR実証炉の設計検討にSVを提供。原子炉容器内の構造に関する設計検討と、プラント運転条件の成立性確認に貢献している。今後も、SFRの社会実装に向けた更なる研究開発を進めていく。

