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原子力機構の価値 ~原子力の社会実装に向けて~

日刊工業新聞にて毎週火曜日連載中

137 原子炉解体「廃棄物」とクリアランス制度

掲載日:2025年9月9日

敦賀事業本部 戦略推進部 廃棄物処分計画課
技術副主幹 窪田 晋太郎

2012年に原子力機構に入構、バックエンド部門に配属。以降、機構全体の廃止措置計画の策定、廃止措置の推進や課題解決に関するプロジェクトチームの運営などに携わる。22年に「ふげん」駐在となってからは廃棄物管理、特にクリアランス制度にからむ測定・評価、クリアランス物の再利用の推進に取り組んでいる。

再利用拡大、周知から

資源化への道

日本原子力研究開発機構の新型転換炉原型炉「ふげん」(福井県敦賀市)は2003年に運転を終了した。施設の解体を進める廃止措置にあって、日々「廃棄物」が出る。これら全てが「放射性廃棄物」になるとのイメージを持つ人は多いのではないだろうか。

「廃棄物」は放射能レベルに応じ「高レベル放射性廃棄物」と「低レベル放射性廃棄物」に分別される。だが、物量として圧倒的に多いのは建屋の構造材などで、人の健康への影響がほとんどない放射能レベル(年間0.01㍉シーベルト以下)に収まる。

こうした資材のうち、国の確認を受けた「クリアランス物」は産業廃棄物などと同じ扱いができるようにしたのが「クリアランス制度」だ。

原子力機構は廃止措置のトップランナーである「ふげん」を中心に、クリアランス対象物の除染技術や測定、評価技術を開発してきた。代表例が研削材を混ぜた水を噴射して放射性物質などを除去する「自動式ウェットブラスト除染装置」だ。性能確認試験を経て運転条件を確立、徹底した品質管理体制の下で測定・評価を行っている。

用途限定せず

現状、クリアランス物は原子力関連施設などでの利用に限るが、将来的には用途を限定せず再利用する「フリーリリース」が目標だ。

商業用と研究用の原子炉が立地する福井県では、高校生や企業がSDGsの一環としてクリアランス物を活用した製品開発を行うなど、モデルケースづくりを広げている。

原子力機構独自の取り組みでは、敦賀市はじめ各自治体の協力を得て、公共施設などに「ふげん」クリアランス金属で製造したサイクルスタンドやベンチの設置を進めている。また、海洋研究開発機構の北極域研究船「みらいⅡ」(26年竣工予定)と同型の錨を製作し、国立極地研究所に展示した。徐々に制度への理解が浸透しつつあると実感する。

実績積み上げる

クリアランス制度を活かすには、企業や地元自治体と一丸となった取り組みを続けていく必要がある。福井県では、地元企業の参入も視野に入れたクリアランス集中処理事業の実現に向け、25年5月に自治体、原子力事業者などの関係者間で包括連携協定が締結された。

フリーリリース実現を目指し、クリアランスに関する技術開発を進めるだけでなく、積極的な理解活動と着実な制度運用を積み重ね、原子力のサステナブルな未来につなげられるよう貢献していきたい。