122 廃止措置施設の空調運用管理
掲載日:2025年5月20日
フリークーリングで適正化
冷凍機に負担
日本原子力研究開発機構「高速増殖原型炉もんじゅ」の廃止措置は、2023年度から4段階中の第2段階「解体準備期間」に入った。今もタービン発電機など発電設備の解体と撤去が進む。稼働機器の減少に伴って放出熱量も減り、換気は必要でも空調で冷却する必要性は低くなった。
そこで原子力機構では、空調設備の冷凍機の運用方法を改善、作業環境は適切に維持管理しながら電力消費量の削減に成功した。長期にわたる施設の廃止措置の現場で、保全管理の一助となりそうだ。
大型機器を配置した建屋の空調設備は、プラント稼働時の最大熱負荷に耐えられるように設計され、能力の高い冷凍機を使っている。設備の解体が進むにつれ、外気温が低い冬期は冷凍能力が過剰になり、適正温度を維持しようと冷凍機は起動・停止を繰り返すようになった。そのため、冷凍機の故障リスクが高まり、設備の運転状態を監視する運転員の負担は増大したことに加えて、大型冷凍機を運転するコストがかさむなど、運用上の課題が多数あった。
流量調整がカギ
解決のため、プラント配置に応じて冷凍機の設備容量を縮小することも検討した。しかし、残存設備の構造や特性を踏まえ再考。冷凍機の圧縮機を止め、冷凍機内部で海水と冷媒、冷媒と冷水が環境温度差で熱交換し、空調を維持する「フリークーリング」運転を検討することにした。
冬期の検証では運転効果の最大化をねらい、各部屋の設定温度を上げて冷凍機が受け取る熱負荷量を下げるように見直した。また、冬期は夏期と比べ熱負荷が少なく、通常は海水流量を減らして冷凍機を運転する。検証では海水流量を増やして熱交換能力を高めた。結果、動力を用いることなく部屋の温度を制御できることを確認した。
消費電力45%
約6カ月間のフリークーリング運転導入で、冷凍機故障リスクは低減し、冷凍機を監視する運転員の業務負荷も軽減した。さらに、冷凍機の運転コストも消費電力量ベースで年間約45%削減できた。
原子力施設の廃止措置やプラントの長期停止時など、冷凍能力が過剰となった場合にはフリークーリング運転が有効な選択になりうるだろう。今後も設備の運用改善を継続し、安全かつ経済的にも最適な廃止措置となる手立ての一つとして展開できるよう取り組んでいきたい。

